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2023年11月6日(月)

米大統領選まで1年

バイデン氏に厳しい目

 【ワシントン=石黒みずほ】2024年11月5日に行われる米大統領選まで1年となりました。物価高が国民の生活を苦しめる中、再選を狙う民主党のバイデン大統領(80)は中間層を重視していく姿勢を改めて表明しています。一方で若者団体らは、気候変動対策などの公約を破ってきた同氏に厳しい目を向けています。

 米ニューズウィーク誌が行った世論調査によると、米国の重要課題として、「経済」60%、「医療保険」33%、「移民」28%、「警察・犯罪」24%、「環境」21%、「人工妊娠中絶」21%―などがあがっています。

 「新たな市場や所得の流れを生み出す歴史的立法だ」―。1日にミネソタ州で演説したバイデン氏は「バイデノミクス」の成果をアピールしました。気候変動打開や雇用の創出にむけ、環境に適した農業インフラへのさらなる投資を行うと表明。「トップダウンではなく下から底上げすることで経済を発展させる」として中間層重視の姿勢を強調しました。

実感伴わず

 米商務省が10月26日に発表した第3四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は前年比4・9%増で、約2年ぶりの高い伸びとなりました。個人消費も4・0%増加しています。

 一方で専門家は、食料やガソリンなどの価格は以前と比べれば依然高く、経済回復は国民の実感になっていないと指摘します。米キニピアック大学の世論調査によると、57%がバイデン氏の経済対策を評価していません。

 共和党候補として支持率で他を大きく引き離すトランプ前大統領(77)は9月末、全米自動車労組(UAW)がストを行うミシガン州を訪れ、自動車関連企業で演説。バイデン氏の電気自動車(EV)推進政策を批判し、「私はどのような状況でも自動車産業を死なせず、繁栄させたい」と述べ、支持を訴えました。

 トランプ氏は一方で、機密文書の持ちだしを含め四つの刑事事件で起訴されています。3州では市民団体が、21年1月の議会襲撃事件への関与をめぐり同氏の出馬を違憲とする訴えを起こしています。

若者に不信

 バイデン氏にとって、昨年の中間選挙で「共和党の波」を押さえた、若者の支持獲得が重要となっています。しかし同氏はこの間、アラスカ州の連邦政府所有地での石油・天然ガス開発を承認。メキシコ国境に押し寄せる移民対策とする「壁」建設の継続を決定しました。壁の建設は環境破壊につながります。

 気候危機対策を求める若者団体「サンライズ運動」は相次ぐ公約破りを批判。「バイデン氏はすでに若者の間に不信をもたらしている。大統領選を前に危険な行動をとった」と、バイデン氏に警鐘を鳴らしています。


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