2023年11月1日(水)
最終盤に上野大逆転
将棋新人王戦 同門対決制す
![]() (写真)対局後、検討する上野四段(左)と藤本四段。奥真ん中は立会人の森信雄七段、右端は小木曽陽司赤旗編集局長=31日、大阪市福島区の関西将棋会館(峯松進撮影) |
昨年にひきつづき、関西勢同士の対局となった将棋の第54期新人王戦(しんぶん赤旗主催)決勝三番勝負は31日、上野裕寿(ひろとし)四段(20)が第3局を制し、熱戦の幕を閉じました。
対局する両者ともに、同じ井上慶太九段門下の兄弟弟子対決として注目された決勝三番勝負。第1局は兄弟子の上野四段が作戦勝ちで序盤から優位を築いて勝ち切り、第2局は激しい終盤の攻防を藤本渚(なぎさ)四段(18)が制して、対戦成績をタイに戻して本局を迎えました。
改めての振り駒の結果、上野四段が先手となり、戦型は第1局と同じ、先手が矢倉、後手が雁木の出だしになりました。
両者ともに玉をしっかり囲うことなく、後手の藤本四段が仕掛けていき、上野四段がこれを抑え込もうとする展開に。先手後手ともに銀を前線に繰り出すことなく、後手の藤本四段が飛車角桂での「やや細いか」と思われる攻めを連ね、上野四段も形勢を離されることなく粘り強く対応。一手一手指し手の難しい中盤戦をへて、一気に終盤戦に突入。
立会人の森信雄七段が「どちらを持っても負けそう。自信がない」となげく攻防は、69手目、☗9八銀の粘りの好手から、形勢は五分五分に戻り、どちらが一手勝ちかという難解な展開に。96手で両者持ち時間を使い切り、秒読みになりました。
最終盤、藤本四段勝ちの局面がありましたが、「土壇場で一番指してはいけない手を指してしまった」と藤本四段が悔やむ一手が出て、上野四段が大逆転勝ちしました。
敗れた藤本四段は「最後に勝ちになったかと思ったところで心が乱れてしまった。それも含めて実力だと思うので、受け止めていきたい」と話し、上野四段は「(同門の)藤本さんの活躍が励みになり、自分がプロになれた部分もあったと思うので、決勝の舞台でたたかえてうれしかった」と語りました。










