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2023年10月29日(日)

主張

国連ガザ休戦決議

壊滅的な人道状況 即刻止めよ

 国連総会は緊急特別会合で、イスラエルとイスラム組織ハマスの交戦が続くパレスチナ自治区ガザに関して「即時、永続可能、持続的な人道的休戦」を求める決議を採択しました。採択に必要な、投票総数の3分の2以上の121カ国が賛成しました。アラブ諸国を代表してヨルダンが提案し、45カ国以上が共同提案に加わりました。総会決議に法的拘束力はないものの、国連安全保障理事会が一致した行動をとれない中で国際社会の意思を示しました。イスラエルとハマスは直ちに決議を受け入れ、戦闘を停止すべきです。

地上侵攻の強行許されぬ

 7日のハマスによる攻撃とイスラエルによる報復攻撃が始まってから安保理で4回、決議案が採決にかけられましたが、常任理事国のうち米国、ロシア、中国がそれぞれの思惑で拒否権を行使し採択されませんでした。

 その間にもガザではイスラエルによる激しい空爆で死傷者が急増し、電力、水、食料、燃料の欠乏で200万人を超える住民の命の危機が深まっています。

 決議は「すべてのテロ行為や無差別攻撃」「パレスチナとイスラエルの市民を狙ったすべての暴力行為」を非難し、国際人道法に基づいて民間人が保護されなければならないことを強調しています。「ガザ地区における壊滅的人道状況」「主に子どもたちを含む一般市民への甚大な影響」を打開するため、人道支援物資が届くようアクセスの確保を求めています。急速に高まった国際世論を反映した内容です。

 イスラエルは決議に反対し、緊急特別会合のさなかにも空爆を激化させました。地上作戦も拡大しています。停戦を求める国際社会の努力に対する挑戦です。イスラエルはガザに人道危機をもたらしている、すべての行動を中止すべきです。大規模な地上侵攻の強行は許されません。

 イスラエルを名指しで非難せず、ハマスによるテロと人質拘束を非難する文言を加えるよう求めたカナダの修正案は採択に必要な賛成数を得られませんでした。討論では、長年の占領や入植拡大によってパレスチナの自決権が侵害されている不公正を指摘して、カナダ案を批判する声が上がりました。

 決議は双方の市民に対する暴力を非難し「不法に拘束されているすべての民間人の即時かつ無条件の釈放」を明記しています。ハマスによる民間人攻撃や拉致が国際人道法違反であることは明白です。ハマスが人質にとった民間人を即時解放しなければならないのは当然です。

戦闘停止の声を世界で

 米国はイスラエルの自衛権が明記されていないことなどを理由に決議に反対しました。イスラエルのガザ攻撃は、住民全体に懲罰を加える国際人道法違反の行為です。ハマスによる無差別攻撃に対する自衛の名で正当化されるものではありません。

 紛争の公正で永続的な解決がパレスチナとイスラエルの二つの国家の共存に基づく平和的手段によるしかないことを決議が改めて強調したことは重要です。

 戦闘停止には一刻の猶予もありません。決議を受けた国際機関と各国政府の外交努力が急がれます。戦闘を即刻やめよとの声を世界で高めることが必要です。


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