2023年10月27日(金)
主張
衆参の代表質問
国民が希望持てる提案実現を
岸田文雄首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が衆参本会議で行われました。日本共産党の志位和夫委員長は衆院で、小池晃書記局長は参院で、暮らしと平和の危機を招いている岸田首相の姿勢を批判するとともに、行き詰まった政治を転換する抜本的対案を示しました。どれも国民の切実な願いに基づく具体的な提起です。しかし、首相はいずれの提案も真摯(しんし)に受けとめず、まともに答弁しません。国民の声に応えず、危機を打開する意思も力もない政権を一刻も早く終わらせ、新しい政治を実現することが求められます。
「失われた30年」打開へ
物価高騰から国民生活をどう守るのか―今国会の最大テーマです。国民を苦しめる根本にあるのは、「失われた30年」とされる日本経済の停滞です。
首相も、この30年に賃金などを削減対象にした「コストカット型経済」を問題と認めています。しかし、「コストカット」を推進した財界のもうけ優先政治の責任は認めず、大本から切り替える姿勢もありません。
「失われた30年」を打開するために、日本共産党は9月末、「経済再生プラン」を発表しました。▽働き方▽税・財政▽エネルギーと食料―を柱にして、希望が持てる日本をつくるための改革案です。
志位氏は同プランについて首相の見解をただしました。一つは、最低賃金の抜本的引き上げです。10月からの最賃は全国加重平均で時給1004円と欧州諸国の5~6割です。全国一律1500円の実現は急務です。志位氏は、大企業の内部留保に時限的課税を行い、その税収を中小企業の賃上げ支援にあてる案を具体的に示しました。しかし、首相は2030年代半ばまでに1500円を目指すと繰り返しました。十数年先まで低水準で我慢せよという無責任な立場は大問題です。
非正規ワーカーの待遇の抜本改善は欠かせません。「正規と同じ仕事をしているのに、賃金が低く、ボーナスも出ず、育児休暇も取れない」。志位氏は当事者の痛切な訴えを紹介し、包括的な保護立法の必要性を強調しました。日本共産党は非正規ワーカーの安定雇用をはかり、差別と格差をなくし、ジェンダー平等を促進する待遇改善法案を発表しています。しかし、首相は立法化に後ろ向きのままです。姿勢を改めるべきです。
首相は消費税減税を拒否し、インボイス中止にも応じません。物価高に見合う年金引き上げにも背を向けました。高学費や奨学金の借金に苦しむ若者が求める高等教育無償化の提案も拒みました。未来を担う若者の願いに逆らう政治をこのままにはできません。
「安心」与える外交こそ
小池書記局長は「マイナ保険証」の国民への押し付けをやめるよう求めました。また、深刻な危機に直面している農業の問題を取り上げ、生産者の緊急支援、食料自給率の向上の対策を要求しました。
志位氏は岸田政権の大軍拡の危険を告発し、日米中を含む東アジアの全ての国を包摂する平和の枠組みを発展させる外交を求めました。軍事による「抑止」で相手の国に「恐怖」を与えるのでなく、相手国に「安心」を与える外交こそが必要です。「軍事対軍事」の悪循環で日本の平和を危うくする道に進んではなりません。








