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2023年10月26日(木)

主張

イスラエルの空爆

無法な攻撃やめ侵攻中止せよ

 イスラエルと、イスラム組織ハマスによる7日以来の戦闘の死者は25日までに7000人を超えました。うち5000人以上がパレスチナ自治区ガザに対するイスラエル軍の空爆による死者です。2000人以上が子どもだとされます。ハマスによる民間人攻撃と拉致は明白な国際人道法違反です。人質を直ちに解放しなければなりません。イスラエルによるガザ地区の完全封鎖と大規模爆撃は住民全体に対する攻撃であり、国際人道法の蹂躙(じゅうりん)です。イスラエルは、人道危機をもたらしているすべての行動をやめ、地上侵攻の企てを断念すべきです。

人道支援へ停戦直ちに

 エジプトとの境界にある検問所を通じた人道援助物資の搬入がようやく21日に始まりました。しかし、ガザに入ったのはわずかな台数のトラックとみられ、200万人を超える住民の命を支えるには到底足りません。

 電力の回復は一刻の猶予もなりません。発電機の稼働に必要な燃料の搬入は、ハマスの攻撃に使われると主張するイスラエルの反対で実現していません。病院を機能停止に追い込み、入院患者や新生児、空爆による大勢の負傷者の命を奪う非人道的な妨害です。

 十分な人道支援を保障するには停戦が不可欠です。

 イスラエルとハマスは暴力の応酬をやめ、停戦に向けた交渉のテーブルにつくべきです。イスラエルが空爆を停止し、ガザ地区の封鎖を解くことが欠かせません。

 国連安全保障理事会は、停戦を求める決議を採択できていません。人道目的で戦闘の一時停止を求めたブラジル案には米国が、イスラエルの自衛権が記されていないとして拒否権を使いました。

 米国はイスラエルに武器、弾薬を供与し、近海に空母打撃群を派遣して周辺に威嚇を強めています。イスラエルの軍事行動を事実上、後押しすることで緊張をさらに激化させています。

 安保理が一致した対応をとれないもとで26日に国連総会の緊急特別会合が開かれます。ガザ地区の人道危機を打開し、これ以上命が失われることのないよう、国際社会の意思を示す必要があります。

 国連のグテレス事務総長は安保理での演説で、ハマスによる民間人攻撃を非難する一方、根底にはイスラエルによる「窒息させられるような占領」があり、ハマスによる攻撃によっても「パレスチナ人への集団的懲罰は正当化できない」と指摘しました。

 イスラエルは反発し、グテレス氏の辞任を要求しましたが、道理のない主張です。

日本は交渉促す努力を

 イスラエルはガザ地区やヨルダン川西岸地区などを1967年の第3次中東戦争で占領しました。占領地からの撤退は国連安保理で決議された国際社会の一致した要求です。イスラエルはガザから撤退した後も同地区を包囲・封鎖し、西岸では国際法に違反して入植地を拡大しています。これが緊張を高め、紛争を長期化させていることは疑う余地がありません。

 日本政府は、ハマスを非難するだけでなく、イスラエルに無法な空爆、封鎖、地上侵攻の中止を求めるべきです。イスラエル、パレスチナ双方との関係を最大限に生かし、停戦に向けた交渉を促すことが重要です。


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