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2023年10月25日(水)

超富裕層の資産課税 提唱

研究機関報告 2700人に2%で2500億ドルの税収

各国政府に訴え

 【ベルリン=吉本博美】多国籍企業の税逃れを追及してきた独立研究機関「EUタックス・オブザーバトリー」が23日に公表した研究報告書で、新たな税制として超富裕層「ビリオネア」の資産に対する一律課税を導入するよう各国政府に提唱しました。

 フランスのパリ経済学院に所属する同研究機関の報告書によると、世界に約2700人いる資産10億ドルのビリオネアに対し2%の資産課税をすることで年間2500億ドル(約37兆4500億円)の税収が見込めると試算しています。

 法人税率や所得税率が低い国に企業を置いて、利益を集めるビリオネアへの実質課税率は現在0~0・6%といいます。

 同機関のガブリエル・ズックマン事務局長は、超富裕層の税逃れは正当化できず「税金に対する社会の受容性や、税制の持続可能性を損なう危険がある」と指摘しました。

 報告書は、ビリオネアへの課税を2024年の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の議題とするよう提案。21年に世界136カ国・地域が確認した法人税の最低税率15%を25%に引き上げることや、脱税防止の強化も訴えました。

 報告書ではノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ氏が「税の不平等は民主主義を損なう」と強調し、税逃れは必然的に起こるものではなく政治判断による結果だと指摘。ビリオネアからの税収は、教育や気候危機など重大課題に取り組む貴重な財源となると述べました。


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