2023年10月24日(火)
主張
岸田首相所信表明
暮らしの危機打開の道示せず
岸田文雄首相が臨時国会で所信表明演説を行いました。内閣支持率が軒並み過去最低になり、物価高騰に無策の岸田政権への世論の批判が鮮明になる中、首相は税の増収分を国民に「還元」するとして、政府与党政策懇談会を開き具体化に向けた検討を指示すると表明しました。中身を語らず「還元」を口にしても説得力はなく、不信は募ります。所信表明演説で首相は、空前の大軍拡を推進する立場を強調するなど、国民の願いにことごとく逆らいました。こんな政治は一刻も早く終わらせる必要があります。岸田政権を追い込む世論を広げましょう。
「国民への還元」言うが
所信表明演説前日に投開票された二つの補欠選挙の結果が岸田政権に打撃を与えました。参院徳島・高知選挙区は野党候補の広田一氏が自民党候補に圧勝しました。衆院長崎4区では野党候補の末次精一氏が僅差で惜敗しました。「保守地盤」とされる両補選の自民の敗北・苦戦は国民の政権批判の強さを改めて示しました。
首相は所信表明演説で「経済、経済、経済」と連呼し、経済対策が重点だと訴えました。その一つの柱は、もっぱら大企業のもうけを優先する「供給力の強化」です。もう一つの柱にするとしたのが、物価高対策としての「国民への還元」です。首相は20日、与党の幹部に所得税減税を含めた対策の検討を指示しましたが、所信表明演説に「所得税減税」の言葉は一言もありません。首相が「減税」で述べたのは、賃上げ税制や投資減税など従来型対策です。
首相の念頭にある所得税減税は1年程度の期限付きとされています。やり方も規模もはっきりしません。期限付きとなれば、期限が過ぎて元に戻す時に、国民には負担増となってのしかかります。しかも、岸田政権は大軍拡の財源を増税でまかなう方針です。「減税」に後ろ向きだった首相の方向転換に「迷走」との指摘も上がっています。
消費税の実質的な増税であるインボイス制度を強行する一方で、「減税」を言うことも大きな矛盾です。物価高に対応するために最も効果があるのは消費税の減税です。日本共産党は、消費税率を5%に引き下げることなどを盛り込んだ「経済再生プラン」を発表しました。消費税減税を実現するために力を合わせる時です。
首相は「防衛力の抜本的強化」を進めたことを自画自賛し、5年間で43兆円の大軍拡を「速やかに実現」すると主張しました。改憲も「先送りのできない重要な課題」として、国会で改憲発議の手続きを進めるため条文案の具体化などの積極的議論を期待すると述べました。憲法を踏みにじり、「戦争国家づくり」に突き進むことを許してはなりません。
「聞き流す」政権許すな
統一協会と自民党との癒着の解明や、相次ぐ「政治とカネ」疑惑には全く触れませんでした。あまりに無反省・無責任です。
岸田首相は、沖縄県の辺野古米軍新基地建設でも、財界主導のマイナンバーカード導入・保険証の廃止などでも国民の声に真っ向から逆らって強行しています。
「聞く」のはアメリカや財界の声ばかりです。国民の声を「聞き流す」政権を国民のたたかいで包囲していくことが重要です。








