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2023年10月20日(金)

きょうの潮流

 今年日本で公開された映画「コロニアの子供たち」を思い起こしました。芸能界だけでなく、社会を揺るがしているジャニーズ問題を見ながら▼映画はチリやドイツなどの合作で、チリ・ピノチェト軍事政権下で実在したカルト教団「コロニア・ディグニタ」を題材にしたものです。ドイツ人創設者のシェーファーは、ナチスの元党員でヒトラーを崇拝する反共主義者。拷問や暴力も使って絶対的な支配力を行使します▼12歳の少年が教団の聖歌隊に抜てきされるところからはじまり、やがてシェーファーのお気に入りに…。毎晩子どもを呼びつけ、くり返される性虐待。恐怖による支配と少年たちの苦悩が胸に迫ります▼逆らうことは命がけ。おとなたちは性暴力を知りながら何十年も沈黙しつづけます。史実ではピノチェト失脚後に逃亡したシェーファーは2005年に逮捕され、裁かれます▼ジャニーズ事務所もジャニー喜多川氏らの絶対支配の下で口をつぐんできました。なぜ生前に裁けなかったのか。本紙を含め日本のメディアが追及できなかったのか。悔やまれてなりません▼子どもや男性だけでなく、性被害そのものへの認識が甘かったから。メディアの視聴率や販売部数など巨額なもうけが絡んでいたから。私たち日本人のほとんどが人権と科学にもとづいて幅広く学ぶ性教育を受けてこなかったから―。教訓は生かさなければなりません。家父長的な価値観にたった自民党の攻撃によって、性教育そのものが停滞させられたことも。


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