2023年10月16日(月)
きょうの潮流
ガザの北部に住んでいたイマンは、当時15歳でした。2014年のイスラエルによる地上侵攻で家は大破し、このままならガザを出たいと語っていました▼地上戦は1カ月半以上にわたって続き、ガザ市民1600人が死亡。そのうちの500人は子どもだったといいます。その時の悲しみや嘆きを、国連パレスチナ難民救済事業機関の清田明宏さんが『ガザ 戦争しか知らないこどもたち』で描いています▼くり返される攻撃と破壊。今また刻一刻と迫る地上侵攻。清田さんは過去の戦闘と比べても最悪の状況だとして、日本政府にも緊急の人道支援と停戦を働きかけるよう訴えています▼日本の種子島ほどの面積に230万人がくらすガザは、人口の半数近くが14歳以下です。現地の医師はすでに負傷者の3割から4割は子どもだといい、泣き叫ぶ映像が連日伝わってきます▼イスラエル軍は陸海空から大規模な軍事作戦にふみきろうとしています。国連の人権理事会は「自衛の名のもと、民族浄化に等しい行為を正当化しようとしている」と警告。世界保健機関も「退避命令は患者や負傷者にとって死の宣告だ」と非難しています▼1948年のイスラエル建国によってパレスチナの地に住んでいたアラブ人が追われ、難民となったナクバ(大災厄)。その再来が懸念されています。ハマスの蛮行が引き金とはいえ、憎しみの連鎖は力では断ち切れないことはこれまでの歴史が物語っています。子どもたちが夢みる平和な生活が訪れないことも。








