2023年10月13日(金)
窓口負担割合 誤登録 点検結果公表は必須
厚労省調査
全保険者対象
患者が払う医療費の窓口負担割合がマイナンバーカードなどで確認する「オンライン資格確認システム」に誤って登録されている問題で、厚生労働省は誤登録の原因となった8パターンを示し、約3400の全保険者に同様の事例がないか点検を求めていることが本紙の取材で分かりました。11月10日までに点検し、誤登録でデータ修正した件数を報告するよう求めています。
一方、同省は点検結果の公表について「決めていない」(保険局高齢者医療課)としています。負担割合の誤登録は保険制度の根幹にかかわる重大事案です。結果の公表は必須です。
負担割合の誤登録は本紙報道(7月4日付)で明らかになったもの。同省は9月29日の社会保障審議会医療保険部会で、保険証の表示と違うなどで負担割合の誤登録が発覚しデータ修正した事例が、5695件に上ったと公表しました。同省は同日、保険者に「事務連絡」を発出、アンケート用紙も送って点検を求めていました。
そこでは誤登録の原因とされる8パターンを例示。「検知方法」も示しています。誤登録があった場合は、窓口負担割合や、高額療養費の限度額適用区分を修正した件数の報告を求めています。
しかし、保険者が「すべての事象について正しい事務処理が行われていた」「同様の事象が生じ得るシステムになっていない(負担割合等の誤りなし)」と判断した場合、点検結果の回答は不要としています。事実上、点検は保険者の判断に任されており、必要な全被保険者対象の総点検にはなっていません。
そもそも8パターン以外で誤登録が起きていないのかも不明で、誤登録問題の全容は未解明です。負担割合が券面に明記された従来の健康保険証の存続は欠かせません。(内藤真己子)