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2023年10月13日(金)

きょうの潮流

 ひとはだれでも得手不得手、好き嫌いがあるもの。しかし、将棋に関して彼は、そのような視点で相手を見ていない。なぜなら、目先の勝利ではなく、ずっと先に続く道が見えているから―▼主なタイトルをすべて手中にした藤井聡太八冠。師匠の杉本昌隆八段が近著でそう分析しています。めざしているゴールとは、後世に語り継がれる棋譜を残したいという思いだけだと(『藤井聡太は、こう考える』)▼81マスの盤面で、動きの異なる8種類の駒を駆使して争う将棋。そこには途方もない数の局面があることから頭脳の格闘技といわれます。藤井八冠はわずか21歳2カ月の若さで、その世界のタイトルを独占する前人未到の快挙をなしとげました▼師匠は、構想力や集中力、それをうみだす平常心と、あくなき探究心を秀でた特徴にあげています。AI(人工知能)の申し子と呼ばれながら、指し手はきわめて人間的。AIをこえた創造力があり、彼の姿からは人間の無限の可能性を感じるとしています▼将棋へのひたむきさや謙虚にむきあう姿勢は、メジャーリーグで異次元の活躍を続けている大谷翔平選手とも共通します。天賦の才をさらにみがく努力も。彼らの存在はライバルや若手だけでなく、全体のレベルを底上げしています▼好きな道を歩み、新たな地平を切り開いていく。その姿に夢や希望をふくらませる子どもたち。性別や分野を問わず、そうした若者が増える環境をつくってこそ、この国の明るい未来が見えてくるはずです。


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