2023年10月11日(水)
きょうの潮流
小学校のときいじめにあって不登校になり、悩み続けた末、20歳で自殺。中学校のときのいじめが原因で対人恐怖や頭痛にいまも苦しむ。いずれもかつて「しんぶん赤旗」に寄せられた訴えです。子どものときのいじめ被害はおとなになっても深刻な影響が続きます▼学校でのいじめで自殺に追い込まれる子どもが相次ぐ中つくられた「いじめ防止対策推進法」。その施行から9月で10年がたちました。しかし、いじめによる悲劇はいまだにあとを絶ちません▼文部科学省が先日公表した調査結果によると、2022年度に全国の小中高校で認知された「いじめ」の件数は約68万2千件に上りました。10年前と比べると3・4倍以上です▼深刻化する前に早期発見が必要と呼びかけられ、認知される数が増えたとも考えられます。認知されたいじめのうち、8割は年度末までに「解消した」とされています。それにしても急激な増え方です▼互いを人間として尊重することを学ぶはずの学校で、なぜこんなにたくさんのいじめが。成績で競争させ、行動を管理する教育。そんな場で過ごす子どもたちは自分が人間として大切にされているとは感じられない。他の子を大切にしなければならないという感情も育ちにくいのではないでしょうか▼いまの政治自体が、人々に競争と自己責任を強いています。それは社会にすさんだ雰囲気をもたらします。人々が連帯の力で政治を変え、社会を変えていくことも、いじめ問題を解決するうえで重要なことです。








