2023年10月9日(月)
民間人殺害許されない
ハマスの大規模攻撃
背景にイスラエルの占領政策
【カイロ=秋山豊】パレスチナのイスラム組織ハマスは、イスラエルへの大規模攻撃の目的を「パレスチナ人と聖地の解放だ」と述べました。しかし、どのような理由であれ民間人を殺害したり、拉致したりすることは許されません。
一方、イスラエル軍による報復攻撃でガザでも多くの死者が出ています。
イスラエルのネタニヤフ首相はハマスに対し、強力な報復を行うと宣言しました。バイデン米大統領はイスラエルへの全面支持を表明しました。
イスラエル軍がガザに地上侵攻するのではないかとの懸念も出ています。戦闘が続けば民間人の犠牲が増えます。ハマスとイスラエル双方に速やかな戦闘の停止を求める国際的な声が上がるのは当然です。
暴力の背景には、イスラエルが国連諸決議に反してパレスチナを占領し続けていることがあり、それに対するパレスチナ人の強い怒りがあります。
イスラエルは国際法に反して入植地を拡大し続け、ユダヤ人入植者によるパレスチナ人への暴力が相次いでいます。イスラエル軍はヨルダン川西岸でパレスチナ人住居への襲撃も行ってきました。
イスラエル警察がイスラム教徒にとって神聖なアルアクサ・モスク(イスラム教礼拝所)に突入する事態も起きています。
イスラエルの意に沿う政策を進めてきた米国の責任は重大です。
トランプ前政権はエルサレムをイスラエルの「首都」と認定しました。国際社会の大多数はこれを認めていません。にもかかわらず、バイデン政権は前政権のこの決定を撤回していません。
トランプ前政権はアラブ首長国連邦(UAE)などアラブ4カ国とイスラエルの国交正常化を合意させ、パレスチナは強く反発。今はバイデン政権が仲介し、サウジアラビアとイスラエルの国交正常化にむけた動きが進んでいます。
パレスチナ解放機構(PLO)とイスラエルは1993年、相互の存在を認め合い、和平をめざすことで合意しています。
イスラエルが1967年の戦争で占領した土地から撤退し、パレスチナ独立国家の樹立を認め、互いの存在を認めて共存を図るよう、国際社会がイスラエルに迫ることが必要です。








