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2023年10月9日(月)

主張

スポーツの日

誰もが楽しめる環境づくりを

 きょうはスポーツの日です。スポーツは私たちの生活を豊かにしてくれます。家族や友人と汗を流す時間は心を解放し、個々の心身の健康や体力向上の役割も担います。大リーグの大谷翔平選手らトップ選手の活躍も、私たちに夢や感動、勇気をくれます。誰もがスポーツに親しみ、楽しめる環境づくりは重要な課題です。

実施できない壁をなくす

 スポーツの日はもともと、1964年の東京オリンピック開会式が行われた10月10日を記念し、66年に制定された体育の日でした。2020年に変更され、「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う」(国民の祝日に関する法律)日となりました。

 スポーツ庁が今年3月に公表した世論調査(回答・4万人)では、20歳以上の週1日以上のスポーツ実施率は52・3%でした。運動不足を「大いに感じる」「ある程度感じる」は76・2%です。

 スポーツをしたくてもできない壁がいくつもあります。

 まず時間の壁です。同調査は、現在の運動頻度に満足していないと答えた人に「頻度が減った・増やせない理由」を尋ねたところ「仕事や家事が忙しいから」が41・0%と最多でした。年代別に見ると男女ともに30代が約60%にのぼりました。余裕のない暮らしがスポーツの阻害要因なのは明白です。とりわけ長時間過密労働を強いられる働き盛りの世代、家事や育児に追われる子育て世代に矛盾が表れています。人間を大切にする働き方への改革が必要です。

 「お金がない」ことも壁です。スポーツができない理由として「お金に余裕がない」を挙げた人が11・6%います。大幅賃上げをはじめ国民の所得を向上させる取り組みも重要です。

 スポーツする場がないことも大きな壁です。全国の公共スポーツ施設はこの20年間で6万5千カ所から5万2千カ所に、2割も減っています。現在、総務省は全国の自治体に公共施設の統合・集約化を求めています。施設の老朽化に加え、公共施設の統廃合が進められ、スポーツ施設がつぶされる事態が各地で起きています。重大な逆行です。

 スポーツ庁の2024年度の概算要求428億円のうち、体育・スポーツ施設整備費は47億円にとどまり、大幅な増額が欠かせません。施設利用料の低廉化や指導員の増員、バリアフリー化が求められます。とくに障害者のスポーツ実施率が、健常者の半分ほどにすぎない現実は大きな課題です。

 11年に制定されたスポーツ基本法は「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」と明記しました。権利を保障するため、政治は責任を果たさなくてはなりません。

ハラスメント・暴力ノー

 大阪市の部活動で高校生が自殺した事件などをきっかけに、スポーツ界が暴力根絶宣言を出してから今年で10年です。スポーツ界での取り組みは行われてはいるものの、いまだ暴力指導はなくなっていません。言葉の暴力への相談も依然としてあります。人権を踏みにじり、人格を傷つける行為はスポーツとは無縁です。スポーツ界挙げて、暴力や暴言、ハラスメント根絶のために力を合わせることが求められます。


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