2023年10月7日(土)
きょうの潮流
自分が不利になったら途中でルールを変え、相手が異議を唱えたら「あなたには抗議する資格がない」と突っぱねる―。沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、政府がとってきた手法です▼玉城デニー知事が、防衛省が提出した辺野古の埋め立て申請を不承認にしたのは、法で定められた要件を満たしていないという、まっとうな理由です。そうであるなら、要件を満たすために手直しすれば済む話です▼ところが政府は、一般市民の権利救済を目的とした「行政不服審査法」を悪用し、国(防衛省)を“救済”するため、国(国土交通相)がデニー知事の不承認処分を執行停止にしてしまいました▼県が提訴すると、最高裁は「県には原告としての資格がない」と門前払いに。そして政府は5日、最高裁判決に従わないのは「違法」だとして県を提訴しました。国が県の権限を奪う「代執行」に踏み切るためです▼国が平気でルールを変え、司法もそれを追認する。この国は本当に法治国家なのか。そんな疑問さえ覚えてしまいます。こんなやり方がまかり通ってしまえば、地方自治は滅んでしまいます▼国は、辺野古埋め立てを承認しなければ普天間基地の「危険性」が放置され、「公益を害する」と主張しています。しかし、新基地は完成まで最短でも12年以上。世界的にも貴重な生態系を破壊し、普天間基地の「危険性除去」どころか、逆に放置する。「代執行」訴訟の弁論は、「公益」論のでたらめさを徹底的に審理する場となるべきです。








