2023年10月5日(木)
解説
民意圧殺の岸田政権に責任
辺野古新基地 対話解決こそ
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、4日までに設計変更を承認するよう求めた斉藤鉄夫国土交通相の指示に対して、玉城デニー知事は「期限内の承認は困難」と判断しました。これを受け、国は近く、「代執行」に向けた訴訟を福岡高裁那覇支部に提起する方針です。岸田政権は自ら掲げてきた「聞く力」を完全に投げ捨て、対米公約最優先・民意圧殺の暴走を加速しています。
地方自治法は、国が(1)自治体の事務が法令違反(2)または事務を怠っている―と判断した場合、自治体に代わって事務を遂行する「代執行」の仕組みを設けています。今回の場合で言えば、新基地建設に伴う埋め立て予定区域北側の大浦湾の軟弱地盤改良のため、国が県に提出した設計変更申請を、国自らが承認することになります。
しかし、自治体の権限を根こそぎ奪う「代執行」は万策尽きた場合の最終手段です。今回、国が「代執行」に踏み切れば、沖縄県だけの問題ではなく、将来、すべての自治体の自治権が脅かされる最悪の「先例」になりかねません。
国と地方自治体は対等であるという地方自治法の本旨から言えば、(1)国はまず、圧倒的多数が辺野古新基地建設に反対であるという沖縄県民の民意を最大限尊重する(2)民意と国の方針が相いれない場合でも、強権的な手法ではなく、徹底的な対話で解決策を模索する―ことが求められます。
最高裁判決から短期間で沖縄県に「承認」を要求し、応じなければ権限を奪う―こうした事態に立ち至った責任は国にあります。
仮に「代執行」で大浦湾側埋め立ての権限を得ても、最深で水面下90メートルまで広がる軟弱地盤や、約7万本もの砂杭を打ち込むなど、前例のない難工事に直面し、いずれ行き詰まることは目に見えています。だからこそ、国は一度立ち止まって、沖縄県と対話することが求められます。(竹下岳)








