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2023年10月3日(火)

きょうの潮流

 パワーだけは追いつけない。かつて米大リーグと日本の野球を比べ、よくいわれました。機動力や小技を重視する日本のスモール・ベースボールを「違う世界の野球」と評した外国人選手も▼そこからメジャーリーグに挑んだ日本選手が、ついにパワー野球の象徴ともいえる本塁打王に輝きました。投げて打って球界の常識を覆し、また一つ歴史をぬりかえた大谷翔平選手です▼体格や力では劣るとされてきた日本、アジア出身の選手が初めてつかんだタイトル。挑戦者を温かく応援する本場のファンからも称賛の声が寄せられています▼四半世紀前、ホームランを量産する2人の打者の争いに大リーグは熱狂しました。しかし、1人が筋肉増強剤を使っていたことを告白。その後も記録を更新した選手の薬物使用が判明するなどファンを失望させ、野球離れがおきました。純粋に野球を楽しむ大谷選手の活躍はふたたび球場にファンを戻しています▼トップアスリートとは夢や感動を与えるもの。そんな先入観があるなかで、彼は「夢を与えようとか、元気を与えようみたいなことはまったく考えていない」といいます。そう受け取ってもらえたらうれしいが、まずは好きな野球を一生懸命にやっている姿を見せることだと(『大谷翔平語録』)▼ファンの存在を大切に思いながら、ただ野球がうまくなりたいと自然体でとりくむ、試し失敗し、そこから学ぶ。そのくり返しが未踏の領域へと。けがを治してグラウンドに立つ姿が、今から待ち遠しい。


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