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2023年9月30日(土)

きょうの潮流

 「世界が驚く、冬にしよう。」。あまりに凡庸なフレーズ。2030年冬季五輪招致を目指す札幌市が作成した市民向け冊子です。心ひかれない言葉は薄い開催目的の反映か▼市民の招致熱も冷え込んでいます。東京大会の負の記憶があるからです。国民無視の強引な開催、約2倍に膨らんだ経費、汚職などの発覚が拍車をかけます▼札幌市の計画は総額3170億円。市の支出は490億円と小さく見せています。しかし、みなが学んだのはどの大会も経費が数倍に膨らむ現実です。東京の検証なき招致はありえません▼市は昨年末、世論を気にし「積極的な機運醸成活動」を休止しつつも、今夏から市民対話に動いています。しかし出てくるのは懸念や反対ばかり。「開催の意義がわからない」「資材高騰を想定しているのか」「五輪より除雪、学校にクーラーを」。そのため市は意向調査を先送りに。地元紙も「招致撤退を考える時だ」の社説を掲げます▼その中で市民が動きます。「招致の是非は市民が決める」と、住民投票を求める直接請求署名が28日、始まりました。2カ月で3万4千人以上の署名は容易ではありません。議会が承認するかも未知数です▼しかし世界では市民の声で立候補取り下げ都市が相次いでいます。国際オリンピック委員会の幹部でさえ「事前に住民投票を行い、住民の了解を得て立候補を」と。民意なき五輪はあってはなりません。五輪招致の是非を問う日本初の住民投票となれば、だれもが「驚く冬に」なります。


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