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2023年9月30日(土)

巨額の税金投入 ラピダス半導体

米軍兵器に供給か

経産省・米国防総省が意見交換 昨年10月

 世界最強の軍隊である米軍の兵器に、日本の先端半導体企業「ラピダス」の製品を使用しようとする国の動きが28日までに分かりました。経済産業省が本紙に認めました。日本半導体産業「復活」の「ラストチャンス」だとして岸田文雄政権はラピダスに巨額の税金をつぎ込んでいます。日本の税金が米軍兵器に使われることになります。(日隈広志)


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(写真)F35ステルス戦闘機=8月30日、石川県小松市

 経産省の担当官がラピダスへの協力を取り付けるため2022年10月に訪米しました。米国防総省で半導体政策の責任者と会談しました。

米国の思惑に合致

 本紙に対し、経産省はその会談について「米国防総省側と半導体の用途についてどうしていくかということで意見交換をした」と回答。そのうえで「用途」に米軍兵器が含まれることを認めました。米国防総省や米軍需企業がラピダスの顧客になるのかとの本紙の問いに「そこまで具体的に話はしていない」と答えました。

 回路線幅7ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の先端半導体はスマホやパソコンなど家電に使用される一方、「極超音速」ミサイルや「F35」戦闘機、人工知能(AI)搭載の最新兵器に不可欠となっています。

 先端半導体は、世界市場の9割を台湾製品が占めます。

 米国防総省は最新の「年次産業能力報告書」(3月)で、米軍兵器に使用される先端半導体のサプライチェーン(供給網)の台湾依存を危険視。日本を名指しし、同盟国との供給源の連携強化に取り組むとしました。ラピダス計画は米国の思惑に合致しています。

2兆円の支援要求

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(写真)建設が進むラピダスの工場=6月、北海道千歳市(北海道・中上範子記者撮影)

 ラピダスは22年8月、トヨタ自動車、NTT、ソニー、NEC、ソフトバンク、デンソー、キオクシア、三菱UFJ銀行の大手8社が共同設立。米大手IBMの「2ナノ」半導体の技術を使って27年から量産を開始するとしています。北海道千歳市に工場を建設中です。

 IBMは米国防総省による半導体の技術開発政策を担ってきた中核企業です。

 ラピダスの小池淳義社長は5月22日の北海道での説明会で、高性能半導体は「安全保障」分野で需要が高まっていると言及。軍や軍需企業への納品の可能性を示唆しました。

 日本の防衛産業や米国防総省、米軍需産業と取引をするかとの本紙の問い合わせに、ラピダスは期限までに回答しませんでした。

 岸田政権はすでにラピダスに3300億円を補助し、追加の補助も予定。ラピダス側は国に2兆円規模の支援を求めています。


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