2023年9月25日(月)
子どもは未来
教育環境改善へ全国行動
ドイツ
【ベルリン=吉本博美】ドイツで23日、子どもの教育環境の改善を求める全国行動が行われ、首都ベルリンでは7000人規模の集会とデモ行進がありました。保育士、教職員、保護者、労働組合が連なる市民団体「今こそ教育の転換を」が主催しました。
![]() (写真)23日、ベルリンで「よりよい教育を」と書かれたプラカードを掲げる子どもと保護者(吉本博美撮影) |
主催者によると、現在ドイツでは保育士が約30万人、保育園・幼稚園の定員が数十万人分不足しています。2025年には教職員が16万人不足し「ドイツ連邦共和国の建国以来の教育危機に陥っている」と強調。教育現場での人員不足について、歴代政府が教育・福祉予算を十分に確保してこなかった結果だと批判しています。
全国行動はショルツ政権に対し、▽教育・保育分野に1000億ユーロ(約1兆5800億円)の特別予算編成▽教育・研究予算を国内総生産(GDP)比10%に増額▽気候危機や国連の持続可能な開発目標(SDGs)に重点を置いた教育課程の改定▽教職員・保育士の養成強化―などを求めました。
街頭では「子どもたちは私たちの未来」「より多くの保育園と学校を」との参加者の唱和が響き、教職員とともに保育園児や小学生もプラカードを持って行進しました。
保育士のミラ・シュネールさん(59)は、ドイツは母親が家で子守をするという「保守的な価値観」が強く、保育園の整備が官民いずれも進んでこなかったと指摘。「教育はドイツの積年の課題。政府はしっかり予算をつけて対策してほしい」と話しました。