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2023年9月24日(日)

主張

副大臣ら女性ゼロ

立ち遅れ打開する姿勢がない

 岸田文雄再改造内閣の副大臣26人と政務官28人の合計54人の中に女性が1人もいないことに批判が広がっています。2001年に副大臣・政務官の制度開始後、「女性ゼロ」は初めてと指摘されています。閣僚では女性5人を起用し過去最多と並ぶとするものの、副大臣・政務官が一人残らず男性という状況はあまりにも異常です。首相は組閣後の記者会見(13日)で女性議員の活躍促進を「最重要課題」と述べましたが、「看板倒れ」と言う他ありません。

「活躍促進」とは正反対

 副大臣と政務官は閣僚と合わせて「政務三役」と呼ばれています。副大臣は閣僚がいない時に職務を代行し、政務官は各省庁の政策分野で閣僚を補佐するなどします。昨年8月の岸田内閣の前回改造時の女性は閣僚2人、副大臣4人、政務官7人で、政務三役に占める女性の比率は約18%でした。今回は政務三役の7%たらずに落ち込みました。

 松野博一官房長官は、閣僚などを含め「全体で多様性にも配慮し、適材適所の人事」と主張します。全て男性がずらりと並んだ副大臣と政務官の就任記念写真を見れば、この説明には無理があります。女性不在という全くバランスのとれない人選を「適材適所」と正当化する感覚も国民の意識からかけ離れています。

 世界経済フォーラムが6月に公表した2023年のジェンダーギャップ指数で日本は146カ国中125位と大きく立ち遅れています。とくに低いのは政治分野で138位と最低クラスです。この打開こそ政治の大きな責任なのに、今回の副大臣・政務官人事は重大な逆行です。

 20年に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画は、政治分野などで指導的地位に占める女性の割合を「20年代の可能な限り早期に30%程度」にすることを掲げました。この不十分な目標からも遠ざかるばかりです。

 同計画は「民主主義社会では男女が政治的意思決定過程に積極的に参画し共に責任を担うとともに、多様な国民の意見が政治や社会の政策・方針決定に公平・公正かつ的確に反映され、均等に利益を享受することができなければならない」と政治分野での女性参画拡大の重要性を強調しています。

 内閣改造直前の今月8日と11日、小倉将信女性活躍担当相(当時)は自民党など各党を訪問し、「政治分野における女性の活躍促進」の取り組みを求める要請文を手渡しています。その直後の副大臣・政務官人事(15日)で、政府自らが各党に求めた内容と正反対の人事を行ったことは、岸田政権の「活躍促進」が言葉だけにすぎないことを浮き彫りにしています。

差別と偏見を助長する

 岸田首相が女性閣僚について「女性ならではの感性や、共感力」などに期待すると語ったことも大問題です。女性という属性でひとくくりにして役割を求める固定観念にもとづく偏見と差別を助長する発言です。自民党女性局もホームぺージで「女性ならでは視点」を強調しており、同党の姿勢自体が問われます。

 政治分野をはじめ日本のジェンダー平等社会の実現を阻んでいるのは、家父長制の古い価値観に固執する古い自民党政治です。新しい政治への転換が不可欠です。


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