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2023年9月24日(日)

官房機密費 公金私物化 深まる疑惑

毎年きっちり12億3千万円台

3月支出急増 返納計91万円

自民3内閣

 領収書が不要で内閣の「ヤミ金」と呼ばれる内閣官房機密費(報償費)の支出額が、11年連続して毎年12億3000万円台でそろっていることが23日、本紙が情報公開請求で入手した資料でわかりました。官房機密費の毎年の予算額は12億3021万円で、一般の予算と異なり事前に使途が決められていません。歴代政権は「当面の任務と状況に応じて機動的に使用する」と説明しながら、実際には毎年ほとんど使い切っており、きわめて不自然な形です。(矢野昌弘)


 本紙が情報公開で入手した資料を集計したところ、第2次安倍晋三内閣発足以降の2012年度から22年度までの11年度分の支出はすべて毎年12億3000万円台に集中していました。

 最もギリギリまで使いきったもので16年度(第2次安倍内閣)の12億3019万円余で、最も使い残したものでも12億3001万円余(岸田文雄内閣、21年度)でした。年度ごとの支出額のばらつきがほとんどありません。

 12年12月から今年6月までの10年半で支出した官房機密費は、総額129億円にのぼります。一方、この期間に使い切ることなく国に返納した官房機密費は、合計でわずか91万円でした。

 官房機密費の内訳は「政策推進費」「活動関係費」「調査情報対策費」です。「政策推進費」は、官房長官だけが扱う資金。官房長官しか使途を知らない、“ヤミ金の中のヤミ金”といえます。今年6月までの10年半で「政策推進費」に120億円を支出。官房機密費全体の92・8%を占めています。

 その他の支出である「活動関係費」「調査情報対策費」には、官邸の職員が事務補助者として出納に関わります。

 開示された資料によると、いずれの年も3月に支出が急増。年度末に駆け込みで予算消化をしている形です。

 岸田内閣の松野博一官房長官の場合は、22年3月に1億8930万円を「政策推進費」に支出していました。他の月の倍近い支出でした。

 前任官房長官の加藤勝信氏や菅義偉氏も同様に3月に「政策推進費」を、それまでの月と比べて1・5倍ほどに増やしていました。毎年3月に多額の官房機密費が必要な事態が起きるというのはあまりにも不自然です。

 公金であるのに支出先や支出目的、領収書の提出を会計検査院から求められることがない官房機密費。領収書不要を隠れみのにした公金の私物化が強く疑われます。

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