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2023年9月22日(金)

強制入院は違法

「引き出し屋」控訴審判決

東京高裁 一審を支持

 ひきこもりからの「自立支援」をうたう「引き出し屋」から連れ出され、強制的に50日間入院させられた30代の男性が、入院先の成仁病院(東京都足立区)の運営法人に550万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が21日、東京高裁でありました。谷口園恵裁判長は、入院を違法とした一審判決を支持し、病院側に308万円の支払いを命じました。


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(写真)会見する弁護団=21日、東京都千代田区

 男性は2018年5月、同居する父親が契約した業者「クリアアンサー」(19年に破産)の職員によって自宅から都内の施設に連れ出されました。成仁病院で「急性一過性精神病性障害」と診断され、母親の同意のもと、50日間、医療保護入院とされました。3日間は身体拘束され、オムツでの排せつを余儀なくされました。

 一審判決では、医療保護入院の要件である精神保健指定医の診察がなく、精神障害を裏付ける事情もなかったと判断。また、病院側が患者本人の同意なしに医療情報を第三者に提供したことはプライバシーの侵害と認定しました。高裁は、一審判決を「相当」だとして病院側の控訴を棄却しました。

 同日会見した男性は「病院には誠実な対応を求めたい」と話しました。

弁護団「人権侵害チェック機能を」

 日本の精神医療をめぐっては、神出病院(神戸市)、滝山病院(東京都八王子市)などの精神科病院で、職員による入院患者に対する虐待事件が続いています。必要のない長期入院も多く、国連やWHO(世界保健機関)から「人権侵害にあたる」と勧告を受けています。

 判決を受け会見した弁護団の宇都宮健児団長は、医療保護入院制度などが、本人の同意なく長期の強制入院を可能とし、自由を奪う制度となっていることを批判。類似の被害が埋もれ、続いている可能性を示し、「精神病院における人権侵害をチェックする機能が必要だ」とのべました。

 今回の入院の違法性を立証するため、裁判所へ意見書を提出した代々木病院精神科医師の竹内真弓さんが裁判を傍聴。「日本の精神医療において患者や利用者の人権を擁護する流れを後押しできる判決です」と話しました。


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