2023年9月22日(金)
補正予算 提出を明言
首相会見 来週に経済対策の柱
岸田文雄首相は20日(日本時間21日午前)、ニューヨーク市内で内外記者会見を行い、新たな経済対策の財源の裏付けとなる2023年度補正予算案を編成し、「適切な時期に国会に提出する」と言明しました。来週前半に経済対策の「柱立て」を示して検討を始め、10月中をめどに策定すると説明しました。
首相は、経済対策で「構造的な賃上げや官民による投資拡大に重点を置いた大胆な経済対策をスピーディーに実行していく」と強調。「柱立て」の内容として、急激な物価高への対応、賃上げと投資拡大の流れの強化、人口減少を乗り越える社会変革などを挙げましたが、コロナ禍以降、世界105カ国・地域が物価高騰対策などのため実施している消費税(付加価値税)減税にはふれませんでした。また、臨時国会召集にも言及せず、政府・与党内で検討する方針を示すにとどまりました。
衆院解散に関しての問いには「新体制を発足させたところであり、先送りできない問題に一意専心に取り組んでいく。いまはそれ以外のことについては考えていない」と答えました。
国連改革については、安全保障理事会の常任理事国による拒否権の行使は「最大限自制されるべきだ」とし、常任理事国が持つ拒否権の抑制に向け「安保理改革を含む国連機能強化のため、直ちに具体的に行動に移らなければならない」と語りました。
首相は「分断対立ではなく、協調に向けた世界をつくり出す」とも発言。ただ、政府はいま中国包囲を狙って「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた取り組みを強化・加速させています。中国などを含めた包摂的な平和の枠組みづくりなど本来求められる外交戦略にはふれませんでした。
国連総会の一般討論演説で東京電力福島第1原発の汚染水(アルプス処理水)海洋放出に言及しなかった理由を問われ、「演説の焦点が国際社会の協調に向けた協力だったため触れなかった」と弁明。汚染水を巡る日本の立場については「幅広い理解を得てきている」と述べました。