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2023年9月21日(木)

政府の辺野古代執行への手続き

「国・地方は対等」に逆行

デニー知事「対話を」

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設の設計変更について斉藤鉄夫国土交通相は19日、玉城デニー県知事に27日までに承認するよう「代執行」着手に向けた勧告を行いました。

 知事がスイス・ジュネーブで開かれている国連人権理事会で新基地の不当性を訴えている最中の勧告。沖縄大学客員教授(憲法学)の小林武弁護士は、「民主主義の蹂躙(じゅうりん)が極まっている」と厳しく批判しました。

 沖縄の米軍基地をめぐっては1996年にも「代執行」が強行された歴史があります。今回の着手は、国と地方自治体が「上下・主従」から「対等・協力」の関係に変わったとされる「地方分権一括法」(99年成立)以前に逆行させるものであり重大です。

 95年、当時の大田昌秀知事は契約を拒否した地主(反戦地主)に代わり米軍用地を強制使用するための代理署名を拒否。国は署名を勧告・命令しましたが県はいずれにも応じず国は「職務執行命令訴訟」を高等裁判所に提起し96年、勝訴しました。国は県に代わって代理署名の「代執行」を強行しました。県は最高裁に上告しましたが棄却されました。

 小林氏は今回の「代執行」に向けた動きは当時と「変わらない強権だ」と指摘します。

 今回の勧告は同設計変更に対する県の不承認処分をめぐる訴訟の不当判決を受けたもの。勧告に県が従わない場合、国交相は承認するよう指示する見通しです。それでも県が承認しない場合は、国は高等裁判所に訴えを起こせます。高裁が国の主張を認めてもデニー知事が承認しない場合、国が代わって承認する「代執行」が強行される仕組みです。

 小林氏は、同判決は、国民(私人)の権利救済のための行政不服審査制度を悪用して国交相が不承認の取消裁決や是正指示を行うことを事実上認める形式論で判断をしただけで、県が主張した、軟弱地盤を中心とした安全性や環境保全などの実態的問題については判断していないと指摘。不当判決が出たからといってこれらの問題は「何も解決していない。県の主張は生きている」と訴えました。

 さらに「地域住民の意思に基づいて政治が行われるべき民主主義と今の政権には大きな乖離(かいり)がある。毅然(きぜん)と民意の側に立ち続けるデニー知事を支えていかなければならない」と力を込めました。

 デニー知事は19日(現地時間)、現地で記者団に「できれば岸田(文雄)首相と胸襟を開いて対話する」ことが望ましいと述べました。


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