2023年9月21日(木)
きょうの潮流
世界遺産のハロン湾や古都ホイアン、ダナンといった海辺のリゾート地。首都ハノイやホーチミンの都市めぐり。ベトナムは日本でも人気の観光地です▼コロナ禍前、日本からの訪問者が多かった国・地域の中でベトナムは上位に入っていました。逆にベトナムからも技能実習生や働き手が多く来日しています。厚労省によると、昨年10月時点の外国人労働者の数は約182万人で過去最多となりましたが、そのうち4分の1超がベトナム人でした▼日本とベトナムが外交関係を樹立してからきょうで50年。ベトナム戦争で米軍が撤退した年に結ばれて以来、人的交流をはじめ両国の関係は広い分野で発展してきました。節目の今年はさまざまな催しが開かれています▼先の大戦で日本はベトナムを占領し、ぼう大な餓死者を出した加害の歴史があります。その後もベトナムは南北が分断され、ベトナム戦争へ。そのとき米軍が大量散布した枯れ葉剤による人体や環境への影響は現在も続いています▼「明日の侵略者を抑止するために、われわれは今日のむき出しの侵略に立ち向かわなければならない」。国連総会でそう訴えたバイデン米大統領。ウクライナへの軍事侵攻をやめないロシアに対し、国際社会の連帯が必要なのは言をまちません▼同時に米国や日本にも侵略の歴史はあり、今も他国を軍事拠点とする米軍の戦略は世界を圧迫しています。自主独立の国としてアジアの平和をめざしていく道にこそ、日本とベトナムの未来があるはずです。