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2023年9月21日(木)

主張

アルツハイマーデー

もっと知り・語り・つながろう

 9月21日は「世界アルツハイマーデー」です。1994年に、国際アルツハイマー病協会(ADI=本部・ロンドン)と世界保健機関(WHO)が共同して決定しました。この日を中心に世界各国で認知症を正しく知り、理解を深める活動が毎年取り組まれています。今年は開始から30回目です。

 日本では今年6月、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が成立しました。認知症になっても人権と尊厳、個性が尊重され、希望を持って安心して暮らせる社会をめざし、力を合わせていきましょう。

啓発活動が世界各地で

 認知症は高齢化が進む中で国際社会でも重要課題の一つです。WHOによれば、世界の認知症患者は現在5500万人超で、アルツハイマー型は最も一般的な認知症で60~70%の症例に関与していると考えられるとされます。

 1984年に設立されたADIは、100以上の国と地域にある加盟団体とともに認知症についての啓発活動を続けています。94年のADI国際会議の際、10周年を祝して同会議初日の9月21日を「世界アルツハイマーデー」に定めました。2012年からは9月を「世界アルツハイマー月間」と設定し、月を通じて多様なイベントの実施を呼びかけています。

 日本で唯一のADI加盟団体「認知症の人と家族の会」は、都道府県の支部が啓発活動の輪を広げてきました。今年も当事者による講演会、トークイベント、映画上映、展示会や、他団体・行政と協力しての公共施設や駅のライトアップなども計画されています。

 同会は今年、「もっと知ろう もっと語ろう 認知症」とのタイトルのリーフレットを作成し、アルツハイマーデーに合わせて全国各地の街頭などで配布します。リーフでは「誰もが認知症を自分事としてとらえ、認知症を知り、備え、人とつながることが大切です」と強調されています。

 医療の進歩によって、早い段階で認知症の診断がつくようになりました。一方、認知症と診断されると、仕事や社会参加をあきらめてしまう人も少なくありません。「何もできなくなる」「なったら恥ずかしい」という理解不足、誤解や偏見も存在しています。それが当事者や家族を苦しめて、孤立させてしまいます。

 認知症の人もできることは多くあります。周囲と相談したり、支援を受けたりしながら社会とつながり続けることは可能です。初期の適切な診断とケアなどで進行を緩やかにすることもできます。新しい薬の開発・普及促進も期待されます。一人ひとりが状況に応じ、安心して生活できる地域をつくることがなにより重要です。

歩みを進めていく機会に

 近く施行される認知症基本法は、全ての認知症の人が基本的人権を享有する個人として、自らの意思で日常生活を送れることなどを基本理念に掲げました。国や地方自治体の施策実施の責務、当事者への医療・福祉サービスの適切な提供や家族への支援も盛り込みました。重要な一歩となった法律を生かさなくてはなりません。

 同法は9月を「認知症月間」、9月21日を「認知症の日」にすると明記しました。法律の理念を具体化し、施策拡充に向けた国・地方自治体の役割が求められます。


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