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2023年9月16日(土)

きょうの潮流

 「地球沸騰化の時代が到来した」―グテレス国連事務総長がこう警告したのは7月末でした。その言葉を何度も思い出したこの夏。大規模な山火事や洪水など、極端な気象による被害が世界各地で起きました▼米ハワイ州マウイ島では、猛火が街を襲い100人超の犠牲者を出しました。米史上最悪の山火事の一つに。あれから1カ月が過ぎ、同州知事は10月には渡航制限を解除し、マウイ島への観光客の立ち入りを再開すると発表しました▼ハワイを英国人クック船長が「発見」したのは18世紀末。白人の到来と同時に成立したハワイ王朝(1795~1892年)の首都が今回被災したラハイナでした▼「太平洋のベニス」とも呼ばれた水の都が、1世紀半で山火事が頻発する土地に。気候変動による干ばつに加え、植民地主義の遺産が指摘されています。資本家が土地をサトウキビやパイナップルの大規模農園に変え、日本人らの移民が入植。作り替えられた土地は今では遊休地になり、その枯れ草が猛火の「燃料」に▼プランテーションで儲(もう)けた企業は、リゾート施設やゴルフ場をつくり、今も水資源を独占し、地元住民は深刻な水不足に陥っていました。焼け出された人々に対し、開発業者は土地の買い取りを持ち掛けているといいます▼儲けを狙う「惨事便乗型資本主義」の姿がここでも。街の再建には「気候正義」が必要です。気候変動で被害を受ける弱者が保護される正義を。各地で災害が続く今、地元住民が置き去りにされてはなりません。


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