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2023年9月15日(金)

きょうの潮流

 「そもそも日本の総理に自分で本当に国家の命運にかかわることを決めているという厳しい危機意識がない」。そう語るのは元内閣官房副長官補の兼原信克氏です(『官邸官僚が本音で語る権力の使い方』)▼日本で諜報(ちょうほう)が軽視されてきた理由に挙げたもの。今後は海外でのスパイ活動を強化すべきだとも。とても同意できるものではありませんが、「国家の命運」を決めている自覚が岸田文雄首相にあるのかという点では、うなずける部分があります▼たとえば先月の日米韓首脳会談。中国や北朝鮮を念頭に3カ国軍による共同訓練の毎年実施などで合意しました。米戦略に沿って新たな軍事的枠組みをつくる動きに米国内でも「単なる軍事協力の拡大は、地域の安全保障環境を悪化させるだけだ」(オンライン誌『レスポンシブル・ステイトクラフト』8月18日)との声があがりました▼政権を支える自民党の麻生太郎副総裁は台湾で「たたかう覚悟」と発言。米国言いなりで、真剣に国の平和を考える力を失い、戦争突入を当然視するまでに至った言動の軽さに恐ろしさを感じます▼元副総理で2005年に亡くなった後藤田正晴氏は「自主自立のものの考え方でアジアに目を向けないと、アメリカ一辺倒ではこの国は危なくなるよ」と語ったことがあります(『後藤田正晴 語り遺したいこと』)▼「日米安保条約を平和友好条約に切り換える、そのための議論を始める時期にさしかかっているのではないか」とも。首相に聞かせたい言葉です。


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