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2023年9月13日(水)

きょうの潮流

 わら半紙につづられていた文章は貴重な歴史の証言でした。「僕の前で朝鮮人が一人皆にたけやりで殺されました」「朝鮮人が川戸の水の中へ毒をいれるといったのでしんぱいしました」▼身の毛がよだつ光景の数々の描写。関東大震災時の朝鮮人虐殺を目の当たりにした子どもたちの作文が横浜市の中央図書館に保存されています。不安のなかで耳にする流言を信じておびえ、朝鮮人を憎む心境が読みとれます▼震災直後から朝鮮人暴動のデマが流され、軍隊や警察、自警団による集団虐殺の事実はあまたの証言や公的な記録に刻まれています。検察は114件を立件。殺人などの罪で600人以上が起訴され、ほとんどが有罪になっています(『関東大震災と民衆犯罪』)▼しかし、犯行の多くは野放しに。戒厳令下の軍や警察の大量殺りくはどれも適当とされ、処分された者もいませんでした。先頭に立った彼らの蛮行は民衆を扇動し、見本をみせたとの指摘もあります▼いま話題の映画「福田村事件」は薬売り行商の一行が自警団に朝鮮人と疑われ、9人が殺害された痛ましい事件を題材にとったものです。100年前の犠牲者について現在の千葉県野田市は初めて弔意を表明しました▼いまだにまともな調査もせず、記録がないと虐殺の事実を否定する岸田政権。過去を省みない姿勢は歴史の偽造そのものであり、いまもヘイトクライムとなって現れています。人権が大きく前進する時代にあっての逆行は、この国の未来をふさぐだけです。


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