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2023年9月10日(日)

きょうの潮流

 戦争や権力の恐ろしさが伝わった。抑圧された人びとの痛みとともに、連帯する人間の強さが心に響いた―。初めて接する若者や懐かしさを覚えながら味わう姿も▼没後40年となる山本薩夫監督の作品を特集した東京のラピュタ阿佐ヶ谷。早々と満席になる回もあり、根強い人気がうかがえます。16日までの最終週には、松川事件を素材にした喜劇「にっぽん泥棒物語」や、徳島ラジオ商殺し事件を描いた「証人の椅子」が上映されます▼「映画は真実を伝える眼であり、政治や社会の不正を批判し、本当に大衆の幸福を願うものでありたい」(『私の映画人生』)。現実の社会を芯に据えつつ、娯楽性をもちあわせた数々の名作はそうした信念のもとで生み出されました▼弾圧のなかで暗い青春時代を過ごし、戦争にもかりだされ、天皇制軍隊でみじめな屈辱を受けた経験。そういうものの復活を断じて許しておくわけにはいかないとメガホンを握り続けました▼戦争の本質を覆い隠し賛美に走る日本映画に警鐘を鳴らし、平和と民主主義を守ることに生涯をかけた山本監督。そこには「目に暗い絶望の色を浮かべ途方にくれていたかつての時代に、もう一度戻るようなことがあってはならない」との思いが込められていました▼岸田政権のもと再び軍拡の道へふみだそうとしている昨今、山本作品の値打ちは今も。反戦を一生のテーマにと決めたとき、彼はもう一つの決意を。それは、戦前から反戦平和の旗を掲げ続けた日本共産党への入党でした。


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