2023年9月9日(土)
きょうの潮流
48年ぶりに自力で五輪の出場権をかちとったバスケットボール男子の熱気が残るなか、ラグビー男子の第10回ワールドカップ・フランス大会が開幕しました。ラグビーの和名は「闘球」。体を激しくぶつけ合うさまは、まさにたたかうスポーツです▼ラグビー日本代表といえば2019年の流行語大賞にも輝いた「ONE TEAM(ワンチーム)」が思い浮かびます。この言葉は語感から集団主義を指すととらえがちですが、個性と多様性のうえに成り立つチームの一体感が真意です▼それは当事者のコメントから伝わってきます。受賞に際して堀江翔太選手は「どういうふうにワンチームにするかが大事。中身の部分をしっかり考えていただければ」と語りました。受賞理由もその意味を重くかみしめます。「世界に広がりつつある排外的な空気に対する明確なカウンター(反抗)メッセージ」「近い将来、移民を受け入れざるを得ない日本の在り方を示唆する」と▼今大会の日本代表をみても、オセアニアや南太平洋など半数近くが外国籍。朝鮮学校出身者の選手も初めて選出されました▼この球技に息づく「ノーサイド精神」にも通じます。試合が終われば両者を隔てた壁が消え、熱くたたかい抜いた両チームが一つになります▼ラグビーボールのようにどこへ弾むのか一見読めない社会の先行き。しかし、時代は個人と多様性尊重の方向へ力強く向かっています。その推進力となる大会に。日本代表はあすの夜、初戦のチリ戦をむかえます。








