2023年9月8日(金)
きょうの潮流
岩手県知事選挙で5選を決めた達増(たっそ)拓也知事は、選挙戦の中で地方政治をすすめる基本精神として、憲法13条の「幸福追求権の保障」を掲げました▼「幸福追求」は、県内で多くの犠牲者を出した大震災津波と深くかかわっています。被災者の医療費の免除を11年間続けました。子ども医療費の窓口負担をなくす施策は、共産党の斉藤信県議の提案を受け入れたと知事の妻・達増陽子さんが明かしました▼「民主主義の原点、共同体の原点に立ち返り、復旧復興を進めていかなくてはならない」。何が人間にとって一番大事か。被災者に寄り添い復興を進めると、深く掘り下げ、思い定めたといいます▼岩手県が掲げてきたスローガン「希望郷いわて」の内容を膨らますため、4年前の県民計画から「幸福」の言葉を入れました。「幸福を守り、育て一人ひとりの幸福を増やす」。教育や健康・余暇など各政策分野に幸福指標を設けました▼震災後のまちづくりでは、「ショック・ドクトリン」といわれる、公共を破壊する新自由主義的なものを取り入れるやり方に断固反対を表明しました。そして、県民一人ひとりに寄り添う達増知事の哲学が、全国トップクラスの子育て支援を生み出しています▼岩手県が生んだ童話作家の宮沢賢治の言葉にある「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」。7年前の講演会で「この言葉が広く共有されている岩手ならではの幸福像を描くことができればと思っています」と語っていました。








