2023年9月6日(水)
きょうの潮流
「辺野古新基地建設を阻止してもらいたいという県民の意思が変わってしまうわけではない」。沖縄県の訴えを退けた最高裁判決に、玉城デニー知事はこうきっぱりと▼新基地工事の着工後に発覚した、埋め立て区域に広がる軟弱地盤。一番深いところで水面下90メートルに及び、「さしずめマヨネーズ状態」とも称されるほど。沖縄防衛局は地盤改良のため設計変更を県に申請しましたが、県はこれを不承認に▼軟弱地盤の力学的試験をやらなくていいのか、ジュゴンの生育や海底面の環境への影響はどうか。県が問うたのは、承認要件に関わる専門的技術的視点からのものです。最高裁はその判断もしないまま、国の指示は「適法」だと▼弁論を開いて県の主張を聞くこともなく、国の求めるよう設計変更を認めよと迫る。そのありように民主主義・法治主義の危機の声が。地元紙・琉球新報は「『法の番人』としての気概さえ感じられない」「法治国家ならば、沖縄の民意に正面から向き合え」と▼デニー知事が岸田政権丸抱えの候補に大差をつけて再選したのは、わずか1年前。「新基地建設のノー、県民の思いは1ミリもぶれていない」と。それでも「唯一の解決策」とくり返してきた政府のいかに傲慢(ごうまん)か。それが、世界一危険と米国自身も認める普天間基地の閉鎖撤去を妨げてきました▼28年前、少女暴行事件を契機に開かれた県民総決起大会。「軍隊のない、悲劇のない、平和な島を返してください」。会場を震わせた女子高校生の訴えは今もなお。








