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2023年9月6日(水)

主張

最高裁不当判決

新基地ノーの民意は変わらず

 沖縄県の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設計画をめぐり、防衛省沖縄防衛局が申請した設計変更を承認するよう、国土交通相が沖縄県知事に出した「是正指示」に関する訴訟で、最高裁第1小法廷は4日、県側の上告を棄却する不当判決を言い渡しました。県が違法だとして求めていた是正指示の取り消しを認めませんでした。玉城デニー知事が「地方公共団体の自主性や自立性、ひいては憲法が定める地方自治の本旨をもないがしろにしかねないもの」だと深い憂慮を示したのは当然です。

違法な自作自演を容認

 沖縄防衛局は2020年4月、埋め立て海域北側の海底で見つかった軟弱地盤を改良するため追加工事が必要だとして、沖縄県に設計変更を申請しました。県は21年11月、申請を不承認にしました。

 不承認の理由は▽設計変更が仮に承認されても地盤改良などに9年あまりかかるとされ、技術的にも前例のない工事のため9年でできるかも不確実で「普天間飛行場の危険性の早期除去」につながらない▽軟弱地盤の深さは最大で海面下90メートルに及んでいるのに地盤改良は70メートルまでしか行わないため未改良の部分が残される地点で必要な調査がされておらず、安全への懸念が払拭できない▽ジュゴンなど希少生物をはじめ環境への影響が甚大である―などです。

 沖縄防衛局は同年12月、県の不承認を不服として国交相に審査請求を行いました。国交相は22年4月、県の不承認を取り消す裁決をし、続いて県に承認するよう是正指示を出しました。

 これは国民の権利・利益の救済を目的とする行政不服審査制度を乱用し、国の機関である沖縄防衛局が私人になりすまし、新基地建設推進を方針とする同じ国の機関の国交相が審査をするという違法な自作自演行為でした。

 県は22年8月、国交相の裁決と是正指示の取り消しを求める二つの訴訟を起こしますが、福岡高裁那覇支部は今年3月、いずれも認めない不当判決を出しました。

 最高裁第1小法廷も8月に裁決に関する訴訟について、県の上告を不受理とする決定をしています。これは「国の機関の行政不服審査法による私人同様の権利救済を追認した不当なもの」(デニー知事コメント)に他なりません。

 是正指示をめぐる今回の最高裁第1小法廷の判決も、国の主張を全面追認しました。

 判決は、県が設計変更申請を不承認にした理由に関して一切言及せず、何ら判断を示しませんでした。一方で、国交相の裁決を当然の前提として、県の不承認を取り消す裁決がされれば「知事は裁決の趣旨に従って(承認の)処分をすべき義務を負う」とし、裁決後も同じ理由で承認しないことが許されれば「紛争の迅速な解決が困難となる」と述べ、是正指示を適法としました。国と自治体が対立した場合、自治体は国に従う他ないという不当極まる判決です。

知事支える世論大きく

 しかし、今回の判決によって県が主張してきた設計変更不承認の理由が解消されるわけではありません。辺野古新基地ノーの沖縄の民意が変わったわけでもありません。新基地建設阻止を掲げるデニー知事を支え、励ます世論と運動を一層大きくしていく時です。


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