2023年9月1日(金)
“訪問・通所複合を創設”
厚労省案 ヘルパー不足穴埋め
社保審分科会 委員から批判
厚生労働省は30日、介護保険の訪問系・通所系サービスを組み合わせた「新たな複合型サービス」を創設する案を、来年度の介護報酬改定について議論している社会保障審議会の分科会に示しました。深刻なホームヘルパー(訪問介護員)の不足分を通所系の職員で穴埋めしようとの思惑で、多くの委員から厳しい意見が出ました。
厚労省によると、介護保険サービスの利用者数は訪問介護が年々増加している一方、通所介護は減少傾向だと指摘。職員はホームヘルパーが圧倒的に不足していて有効求人倍率は15倍を超えています。(2022年度)
厚労省はいまでも、訪問系か通所系を運営する事業者の半数以上が訪問・通所の双方を運営しており、「訪問系の人材不足を補える」などの声が出ていると紹介。現行の「地域密着型サービス」のなかに新たな複合型サービスを創設し、「居宅要介護者のさまざまな介護ニーズに柔軟に対応できるように」すると提起しました。
深刻化する人手不足に対し、「認知症の人と家族の会」の委員は「ホームヘルパーを増やすための介護報酬改定が(13年度以降)まったくなかったことを証明しているのではないか」と指摘。「新サービスをつくっても事業所は増えないのではないか。根本的な人材不足への対策ではない」と批判しました。
「現状でさえ介護保険制度は複雑だと指摘されている。屋上屋を重ね、さらに複雑化するのは反対だ」(全国老人保健施設協会)などの意見も出ました。








