2023年8月31日(木)
きょうの潮流
これは非常に大きな転換点だ。「当事者の会」のひとりは、性加害の事実を認めたことはすべての起点になるとして、改めて謝罪と救済を求めました▼1950年代から2010年代半ばまでの長期にわたり、所属タレントに対して性加害をくり返していたジャニー喜多川氏。「再発防止特別チーム」は、それを事実として認定し、ジャニーズ事務所の解体的な出直しに言及しました▼数百人が被害にあったとの証言も。原因はジャニー氏の異常な性的嗜好(しこう)にくわえ、姉で経営を担ったメリー喜多川氏による放置と隠蔽(いんぺい)、事務所の不作為。そして圧倒的な権力支配が招いた被害の潜在化にあった。特別チームの報告書はそう指摘しました▼生殺与奪を一手に握る絶対的な権力者。その強い立場を利用した性虐待を、被害にあった未成年者たちは拒むこともできなければ、相談や告発をすることも極めて困難であったと▼ジャニー氏による性加害は芸能界の関係者には広く知られていたといいます。セクハラやパワハラが起こりやすいといわれてきたエンタメ業界。メディアや広告業界を含めた土壌からの改善が求められています▼「笑顔と感動の輪を、世界に」。いまもジャニーズ事務所のホームページにはこんな言葉がおどっています。いびつな権力構造がいまだはびこる芸能界のなかで、人権に重きを置いた組織として生まれ変われるか。特別チームの座長を務めた林真琴弁護士はこう呼びかけました。「先頭に立って変えていくことを期待する」








