2023年8月27日(日)
英上位100社経営者報酬増 格差118倍
物価苦の労働者置き去り
「分配なら国民の生活水準向上」
22年
【ベルリン=吉本博美】英国で多くの労働者が物価高騰に苦しみ、賃上げを求めてストライキに踏み切るなか、大企業経営者の報酬が増加し、労働者の賃金との格差が118倍に拡大していることが明らかになりました。同国のシンクタンク「ハイ・ペイ・センター」がこのほど調査結果を公表。「すでに億万長者である企業経営者の賃上げが優先されるのは誤りだ」と指摘しました。
21日に公開された調査によると、英国のトップ100企業の経営者の昨年の報酬は、平均50万ポンド(約9200万円)上昇し、その中央値は391万ポンドで、常勤労働者の年収中央値3万3000ポンドの118倍でした。トップ経営者と一般労働者の格差は、2020年は79倍、2021年は108倍と年々拡大しています。
報酬上位には、軍需企業BAEシステム(1070万ポンド)や石油大手BP(1000万ポンド)などが名を連ね、最高報酬は製薬企業アストラゼネカの1530万ポンドでした。
「ハイ・ペイ・センター」のヒルドヤード事務局長は「大企業経営者が、自社の労働者のおかげで築いた富を分配すれば、国民の生活水準は大きく向上する」と指摘。労働組合の権利拡大も求められていると述べました。
英労組のナショナルセンター、労働組合会議(TUC)は調査結果について、保守党政権のもと英国は異常なまでの格差を抱える国となっていると批判。「大企業トップだけでなく、すべての人の生活水準を引き上げる経済が必要だ」と指摘しました。