しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年8月26日(土)

主張

男性の育児休業

安心して取れる具体的対策を

 2022年度の厚生労働省の雇用均等基本調査(7月31日発表)によると男性の育児休業取得率は17・13%(前年度比3・16ポイント増)でした。育休を取った男性のいる事業所の割合は24・2%(同5・3ポイント増)でした。いずれも過去最高です。しかし、このペースでは政府が掲げる男性育休取得率の目標「25年に50%、30年に85%」の実現は極めて困難です。

進まぬ原因にメスを入れ

 有期雇用の男性労働者の育休取得率は8・57%で前年度より5・64ポイント低下しました。配偶者が出産した有期雇用の男性がいた事業所の約9割で男性は育休を取得しませんでした。未取得率は前年度より増えました。有期雇用男性の取得は後退したのが実態です。

 日本の育休は、制度としては、休業期間の面でも給付水準の面でも世界トップクラスです。制度は充実しているのに、実際の取得が進まない根本原因にメスを入れなければ、前進は図られません。

 日本共産党は国会質問で男性の育休取得の遅れを取り上げ、対策を求めてきました。取得率の向上が急務であるだけでなく、取得の仕方や中身の改善も不可欠だという提起もしています。

 宮本岳志衆院議員は昨年4月の総務委員会で、一般職国家公務員の男性の育休取得率は51・4%(20年度)である一方、男性の育休期間は1カ月未満が54・6%を占め、5日未満も1割以上いる実態を明らかにしました。女性の場合、1カ月以下の取得は0・5%、9カ月以上は89%です。男性が短期間しか取得できないのは、職場体制の弱さなどが理由になっているとして、宮本氏は「代替要員がいて、安心して任せられるようにすることが決定的」と公務員の積極的な人員増を求めました。

 岸田文雄政権は今年6月、少子化対策の基本方針として、公務員の男性育休は「25年に85%(1週間以上の取得率)」をめざすとしました。しかし、人員を増やすなどの具体的な手だては示されていません。数字の引き上げ目標だけを看板に掲げても、内実のともなわない形ばかりの育休では意味がありません。

 男女ともに育休の恩恵が及んでいないのが、462万人と推計されるフリーランスです。個人事業主で雇用保険に入っていないため育児休業支援金の対象とならないためです。吉良よし子参院議員は昨年2月の予算委員会で、フリーランスの労働者も育休が取得できる制度の必要性を訴えました。

 政府は、非正規雇用者やフリーランス、自営業者についても「育児に伴う収入減少リスクに対応した新たな経済的支援を創設する」と表明しましたが、予算規模や財源は明確にしていません。

制度をいっそう拡充せよ

 ジェンダー平等指数が世界1位のアイスランドでは、男性の育休はジェンダー平等を進める重要な制度と位置づけられています。同国には両親が6カ月ずつ必ず育休を取ることを奨励する仕組みがあります。これにより女性が仕事を続け専門性を高めやすくなり、誰もが育休を取るので新入社員を雇う時に性別に基づく偏見が減りました。同国の男性の育児休暇取得率は86%にのぼっています。

 日本でも、性別や働き方によらず安心して利用できる育休制度へ充実させることが必要です。


pageup