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2023年8月24日(木)

きょうの潮流

 春はシラウオ、夏はアワビやカツオ、秋はヒラメ、サンマ、冬はアンコウにメヒカリ。1年を通してこの海で水揚げされる魚介類は、滋味に富むことから「常磐(じょうばん)もの」と呼ばれます▼福島県沖に広がる、親潮と黒潮がぶつかりあう潮目の海。質のいい魚がたくさん取れるという豊かな漁場です。築地の水産関係者に聞いた調査では、ほとんどが「常磐ものはおいしい」と答えていました▼その海からの恵みは漁師や水産業者の努力によって食卓に届けられてきました。ところが、きょうにもそこに原発事故によって発生した汚染水が放出されようとしています。多くの漁業関係者や国内外の反対の声に背をむけて▼12年前の事故によって操業は自粛させられ、水揚げも低迷。漁業に携わる人も減っていきました。歯を食いしばり徐々にでも回復をめざす日々がつづくさなかの岸田政権の一方的な決定。しかも、関係者の理解なしには行わないと断言した約束までほごにして▼長きにわたる汚染水の海洋放出は漁業だけでなく、農業や観光業にも影響を及ぼします。風評被害はさらに広まり、すでに仕入れ業者や飲食店などからは慎重にならざるをえないとの声も。近隣諸国でも抗議や輸入停止の動きが起きています▼「あまりにも身勝手だ」「撤回せよ」と怒る現場。原発の安全神話をふりまき、事故後も不誠実な対応をくり返してきた政府と東電。「今後、数十年の長期にわたろうとも全責任をもって対応する」。そんな首相の言葉を信じられるか。


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