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2023年8月21日(月)

主張

消費の落ち込み

政治の責任で暮らし立て直せ

 個人消費の落ち込みを示す経済指標が相次いでいます。内閣府が15日に発表した2023年4~6月期の国内総生産(GDP)では個人消費が3四半期ぶりにマイナスとなりました。賃上げを軸に実体経済を立て直すことが急務となっています。

内需増えず成長見せかけ

 4~6月期のGDPは、物価変動の影響を除いた実質で前期比1・5%増、年率換算で6・0%増となりました。輸入が減少したため、輸出と差し引きした外需が数字の上で増えたことが主なプラス要因でした。内需は増えておらず、6%成長は見せかけです。

 GDPの5割強を占める個人消費は前期比0・5%減でした。物価高で消費が減ったことが響きました。内需のもう一つの柱である民間企業の設備投資は0・03%増とほぼ横ばいでした。

 個人消費の実額は296兆円でした。19年10月に安倍晋三政権が消費税率を10%に引き上げる前の300兆円台を回復していません。コロナ危機だけでなく、消費税増税がいまだに消費の足を引っ張っています。消費税は緊急に5%に減税すべきです。

 総務省の家計調査(最新は6月分)によると、1世帯当たりの消費支出が実質で前年より増えた月は、今年に入って2月だけで、あとの5カ月はマイナスです。食料への支出は9カ月連続で減っています。物価高騰によって、食料品まで買い控えざるを得なくなっています。

 実質賃金は15カ月連続で前年割れです。

 23年春闘の賃上げ回答(定期昇給込み、加重平均)は、連合の集計で1万560円、3・58%増、全労連など国民春闘共闘委員会のまとめで6318円、2・31%増でした。生活苦を打開するために、物価高を上回る持続的な賃上げが求められています。

 23年度の最低賃金は、24県の地方最賃審議会で中央最賃審議会の答申に上積みする答申が出されました。時給1000円超が8都府県になりましたが、暮らしを支えるには足りません。全国どこでも時給1500円は必要です。

 労働者の7割が働く中小企業に対する賃上げ支援は待ったなしの課題です。

 中小企業の倒産は物価高で増加傾向です。民間信用調査会社、帝国データバンクが集計した7月の企業倒産は701件で前年同月の40%増、負債総額は1805億円で2倍に急増しました。倒産件数が前年を上回ったのは15カ月連続です。増加期間の長さはリーマン・ショック時と並びました。

大企業の内部留保活用を

 岸田文雄政権の中小企業対策は、赤字経営の企業は使いようがない賃上げ減税など実効性の乏しいものです。社会保険料の雇用主負担の軽減をはじめ直接届く施策には後ろ向きです。

 日本共産党はアベノミクスのもとでこの10年間に増えた大企業の内部留保に5年間、時限的に課税し、これを財源に中小企業の賃上げを支援することを提案しています。賃上げに回した分を控除することで、大企業の賃上げを促進する効果もあります。

 暮らしと営業を支えるために政治が責任を果たさなければなりません。内部留保課税の提案がますます重要です。


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