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2023年8月21日(月)

きょうの潮流

 首長竜フタバスズキリュウの骨格。世界最古といわれる旧石器時代の落とし穴。樹齢1600年の屋久杉。落下から1世紀余の時をこえて登録された越谷隕石(いんせき)…▼日本列島の生い立ちや自然が手に取るようにわかる展示物に、子どもたちが群がっていました。なかには夏休みの研究にと熱心に写真やメモをとる姿も。東京・上野にある国立科学博物館は家族連れでにぎわっていました▼その科博がインターネットで寄付を募るクラウドファンディングを始めたことが話題になりました。コロナ禍での来場者減に光熱費や資材の高騰が重なり財政がひっ迫していると。500万点をこえる文化財を保管するためにも一定の資金は欠かせません▼目標額は1億円でしたが、すでに7億円ほどが集まっています。それにしても情けないのは学術研究への国の支援のあり方です。軍事費にはけた違いの巨額をつぎ込み、多くの国民が反対する五輪や万博に湯水のごとく税金を投入する。一方で各地の文化施設は悲鳴をあげています▼これでよく文化国家などといえたものです。岸田首相は文化の振興に力を入れるといいますが、根幹の業務にさえ支障が出ているのに手をこまねくだけ。国が果たすべき役割を放棄するのか▼多種多様な動植物の標本や色とりどりの鉱物、刻まれた地質―。地球から与えられた宝物を守り、歴史をひもといていく博物館には科学の目を育てる大事な任務も。過去と未来をつなぐ活動を引き継いでいく責任が政府にはあるはずです。


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