2023年8月20日(日)
きょうの潮流
きょう決勝戦が行われるサッカーの女子ワールドカップ(W杯)。そのまばゆい舞台の裏には、祖国を追われ、自由をなくし、試合もままならない“もう一つのたたかい”があります。W杯出場はできなかったものの、開催地オーストラリアに身を寄せるアフガニスタン女子代表のそれです▼2年前の8月、イスラム組織タリバンの政権掌握がきっかけです。以前に同政権が行った弾圧を懸念し、選手たちはすぐに出国。さまざまな協力を得て豪州にたどりつきました。現在は働きつつ、受け入れ先のクラブでサッカーを続けています▼この間、タリバン政権は50あまりの布告、命令で女性を家に閉じ込める施策を強行。女子が教育を受けられるのは小学校まで。中学、高校、大学からは締め出されています▼働く場も制限され、先ごろは女性の社交の場でもある美容院の閉鎖が決まりました。「肌を露出するから」とスポーツはできず、なぜか公園にも入れない。同国は「女性にとって監獄のような場所」と。国連は非難決議を上げ、国際刑事裁判所も動いています▼代表選手はある問題に直面しています。本国のサッカー連盟が政権の意をくみ、彼女らを代表と認めず、国際サッカー連盟も追認していること▼代表としてプレーすることは、本国で苦しむ無数の女性の生きる希望となるはず。これは同国の異常な性差別の現実を世界にさらし、良識の声で包囲する力にもなる。スポーツの枠を超え、自由と平等を求める気高いたたかいでもあります。








