2023年8月20日(日)
ウクライナ戦争に向き合う
子どもと一緒に考えた実践報告
教育のつどい分科会
東京都で開かれている「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会2023」(実行委員会主催)は2日目の19日、18の分科会での討論を始めました。「社会科教育」分科会では、ロシアによるウクライナ侵略という問題に正面から向き合い、子どもたちと一緒に考えた実践報告が続きました。
ウクライナ戦争をテーマに9回の授業に取り組んだ大阪府の私立高校教諭、和井田祐司さんは、戦争の長期化で巨大な暴力が日常の一部になり生徒たちの人権感覚が鈍ることや、ウクライナ側にも問題があるという「どっちもどっち論」がまんえんすることへの危機感が出発点だったと語りました。
メディアなどを通じて膨大な情報があふれているため、「少なくともこれは間違いなく発生した」といえる事実の紹介から授業を開始。国際紛争の平和的解決を求めた国連憲章を学び、どっちもどっち論が成り立たないことを確認し、最後の授業では自分たちになにができるか、署名やデモの意義まで議論を進めたと報告しました。
現在進行している事象は評価が確定していないことも多く授業で扱う難しさがあるものの、ウクライナ戦争は国連憲章違反や市民の虐殺など国際人道法違反が明らかであり「授業化しない選択肢はない」と強調しました。
長野県の高校教諭も、ウクライナとロシアの関係史や、ナチスのポーランド侵略と比較した授業実践を報告。授業後のアンケートではロシアへの批判が多く寄せられる半面、日本をとりまく情勢への不安も想像以上に強かったとし、平和のために軍事力が必要という「現実主義」にどう応えるか模索したと語りました。多面的な教材や資料を示し、生徒が自らの考えを醸成していく場を提供することが重要ではないかと述べました。








