2023年8月13日(日)
中絶の権利擁護へ前進
住民投票で共和党案を否決
米オハイオ
【ワシントン=島田峰隆】米中西部オハイオ州でこのほど、州憲法改定手続きの厳格化の是非を問う住民投票が行われ、反対多数で否決されました。同州では人工妊娠中絶の権利を州憲法に盛り込むことに関する住民投票が11月に予定されています。改定手続きの厳格化は中絶に反対する共和党が求めていたもので、米メディアは「中絶の権利を支持する人々の重要な勝利」だと指摘しています。
8日の住民投票では、州憲法改定の要件を単純過半数から60%以上に引き上げることについて賛成か反対かを問いました。州当局の発表によると、賛成は42・99%、反対は57・01%でした。
中絶の権利擁護に取り組むNGOなどは、州憲法改定手続き厳格化の真の狙いは、11月の住民投票で中絶の権利を州憲法に盛り込むことを阻止することにあると指摘。「有権者を抑圧し、中絶のケアを求める州民を罰する動きだ」と訴えました。
これらのNGOは住民投票結果について「基本的権利と民主主義の勝利だ」「州憲法で中絶の権利を守る方向へ一歩近づいた」と歓迎しました。
バイデン大統領は8日の声明で「オハイオ州民ははっきりと声を上げ、民主主義が勝利した」と述べました。
米最高裁が昨年6月に人工妊娠中絶を憲法上の権利として認めた1973年の判決を覆して以来、共和党が主導する州を中心に中絶を禁止したり厳格に規制したりする動きが広がっています。オハイオ州でも昨年、妊娠6週目以降の中絶が禁止されました。
今回のオハイオ州の住民投票は全米から注目されました。米メディアによると、賛成と反対の両陣営に州外からも資金が寄せられ、合計で少なくとも3250万ドル(約47億円)がキャンペーンに使われました。








