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2023年8月13日(日)

役員報酬1億円以上316社717人 最多更新

社員との格差533倍の例も

 2023年3月期に1億円以上の役員報酬を受け取った役員、所属企業とも過去最多を更新しました。民間信用調査会社の東京商工リサーチがまとめたものです。(清水渡)


 役員報酬1億円以上の開示は、「改正企業内容等の開示に関する内閣府令」に基づき、10年3月期決算より報酬などの総額、報酬等の種類別(基本報酬・ストックオプション・賞与・退職慰労金等の区分)の総額を有価証券報告書に記載することが義務付けられたことで始まりました。東京商工リサーチが6月30日までに23年3月期決算を提出した上場企業2342社を対象に調査したところ、1億円以上の開示があったのは316社(前年289社)、717人(同667人)で開示が始まった10年3月期以降で最多を記録しました。

1位は48億円

 役員報酬が最多だったのはソフトバンクグループの連結子会社、Zホールディングス(HD)の慎ジュンホ代表取締役GCPO(グループ最高プロダクト責任者)です。48億6700万円と前年に続き2年連続で首位に立ちました。開示制度が開始された10年3月期以降では、15年3月期のオリックスの宮内義彦元会長の54億7000万円に次いで歴代5番目となりました。

 ZHDからは慎氏のほか出沢剛社長(12億3700万円)、舛田淳専務執行役員(9億5400万円)が上位10人に入っています。同社社員の平均賃金は912・95万円です。慎氏と社員の格差は533倍に上ります。

 慎氏に次いで、ソニーGの吉田憲一郎会長が20億8300万円(前年18億8800万円)、武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長が17億2300万円(同18億5800万円)、PHCHDのジョン・マロッタ元取締役の16億5400万円(同5億6000万円)、東京エレクトロンの河合利樹社長の14億2000万円(同16億6500万円)らが続きました。報酬額10億円以上は7人と前年から1人減りました。

300社超えは初

 役員報酬1億円以上を開示した上場企業が300社を超えるのは23年3月期が初めてです。個別企業では開示人数の最多は日立製作所の20人(前年18人)で、歴代5番目の多さでした。開示人数が20人以上となるのは、19年の三菱電機(21人)以来、4年ぶりです。

 次いで、伊藤忠商事14人(前年6人)、三菱重工業10人(同2人)と、上位は大幅に開示人数が増えました。伊藤忠商事は前年は取締役6人でしたが、23年3月期は取締役6人のほか、執行役員8人が開示対象となりました。三菱重工業も前年は取締役2人でしたが、23年3月期は取締役4人のほか、執行役員6人が開示対象となりました。

 東京商工リサーチは23年3月期に開示企業・役員が増加した背景について、「コロナ禍から経済活動が本格的に動き出し、円安も追い風となり、輸出企業を中心とした好業績を反映した。また、役員報酬が業績連動だけでなく、株式報酬などの報酬体系も定着し高額化が進んだ」としています。

役員報酬上位10名
  氏名 所属 報酬(億円) 平均賃金(万円) 平均賃金との格差(倍)
23年 22年
慎ジュンホ Zホールディングス 48.67 43.35 912.95 533
吉田憲一郎 ソニーグループ 20.83 18.88 1101.90 189
クリストフ・ウェバー 武田薬品工業 17.23 18.58 1097.20 157
ジョン・マロッタ PHCホールディングス 16.54 5.60 980.89 169
河合利樹 東京エレクトロン 14.20 16.65 1398.95 102
ジェームス・カフナー トヨタ自動車 13.30 9.06 857.12 155
出沢剛 Zホールディングス 12.37 9.17 912.95 135
豊田章男 トヨタ自動車 9.99 6.85 857.12 117
アンドリュー・プランプ 武田薬品工業 9.73 9.19 1097.20 89
10 舛田淳 Zホールディングス 9.54 7.23 912.95 104

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