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2023年8月11日(金)

きょうの潮流

 富士五湖を眼下に、樹林のなかを走り、富士山五合目に至る富士スバルライン。周囲の山並みがひろがる絶景のドライブウエーとして人気です▼いまそこに路面電車を走らせる計画が進められています。山梨県が導入を図ってきた「富士山登山鉄道構想」です。今年6月に事業化を検討する予算が初めて計上されましたが、地元をはじめ反対の声は多い▼「世界遺産で山岳信仰のある富士山を、地元としてこれ以上手をつけることなく、今の状態で守るべき使命がある」。吉田口登山道のある富士吉田市の堀内茂市長が、共産党県議団との懇談で訴えています▼鉄道建設の課題や危険性も指摘されていることから「現実を知らない計画だ。富士山を稼ぐ道具にしてほしくない」とも。もともと財界と一体となって推進してきた計画で、検討委員会には経団連の名誉会長を筆頭に各企業の代表らがずらりと並んでいます▼1400億円もの整備費が見積もられている登山鉄道については党県議団も「海外富裕層の呼び込みが目的で、環境保全の点からも一貫して反対してきた」。県は名目の一つに環境負荷の低減をあげますが、電気バスの利用で十分対応できると。いまでさえ登山者の急増が問題となるなか、さらなる開発や呼び込みが環境悪化に拍車をかけることは必至です▼富士山に限らず、開発や災害で傷ついた各地の山々。山国日本にありながら山の環境や保全に寄せる人びとの関心は薄い。山に親しみ、山の恩恵に感謝する。きょうは山の日。


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