2023年8月9日(水)
政府のマイナ中間報告
現場に混乱の責任転嫁
国民に総点検押し付け
「欠陥車が普及したおかげで、エンジンやブレーキの不調が分かってきた」―自動車メーカーにそんなことを言われたら、事故で亡くなった遺族は憤慨するのではないでしょうか。河野太郎デジタル相は8日の記者会見で、「マイナンバーカードが普及して、マイナポータルを見る人が増えたからひも付けの誤りがわかった」と開き直りました。
マイナンバーをめぐる相次ぐトラブルの根本原因は、国民のマイナンバーに対する不安や不信を置き去りにしたまま、現場のマンパワーの限界を無視して、マイナンバーカードの急速な普及を図ったことです。それによって発生した個人情報の漏えいは、総点検を行っている今も続いています。デジタル庁の長である岸田首相と、同庁を所管する河野太郎デジタル相、国民皆保険の基本である保険証を廃止すると国民を脅してカード普及を図った加藤勝信厚生労働相の責任は免れません。
いざ、現場からひも付けの誤りや誤登録などのミスが続出すると、彼らはひも付けなどの作業を担った自治体や保険者、システムを構築した企業などの現場に責任転嫁し、やはり現場のマンパワーを無視した期限を設定して、データの総点検を強いています。
そして、自らの責任を問われると、「マイナンバーカードが普及したおかげで、ミスが判明した」と強弁。「不安のある国民はマイナンバーカードを用いて、自身の情報が誤っていないかどうか、マイナポータルで確認してほしい」と呼び掛け、“1億総点検”を国民に強いるのですから、怒りを通り越して滑稽にすら見えます。
リーダーとして組織の失敗の責任を現場に転嫁し、自らの責任について開き直る大臣では、今回の混乱は収束できません。(森糸信)








