2023年8月9日(水)
主張
23年世界大会閉幕
「核兵器のない世界」へ前進を
長崎にアメリカの原子爆弾が投下されて、きょうで78年となります。「核兵器のない世界」への決意を新たにする日です。核使用の危険をはらむ緊迫した情勢の中で開かれた原水爆禁止2023年世界大会は8日、長崎で閉幕総会が行われ、核兵器廃絶への国際連帯を訴えて大きく成功しました。
力発揮している禁止条約
4年ぶりに、海外と全国から参加者が対面で集った大会でした。核兵器の脅威を根絶するには、廃絶以外にないこと、とりわけ「核抑止力」論との決別を訴える声がこれまで以上に高まりました。
大会であいさつしたカナダ在住の被爆者・サーロー節子さんは「安全保障環境」を理由に「核に頼るのは仕方がない」と言う岸田文雄首相を厳しく批判しました。広島市の松井一実市長も「核抑止力」は「人類の存続すら危うくする」と訴えるメッセージを大会に寄せました。日本政府はこれらの声に真摯(しんし)に応え、「核抑止力」=アメリカの「核の傘」から離脱し、核兵器禁止条約に参加すべきです。
大会には世界の反核平和運動の代表とともに、国連の中満泉事務次長、昨年の禁止条約第1回締約国会議議長国のオーストリア、今年11月からの第2回締約国会議議長国のメキシコ、非同盟運動のマレーシアから政府代表が参加しました。大会が禁止条約を力に前進する世界の大きな流れとともにあることが示されました。
禁止条約のもとに非公式作業グループが設けられ、核使用と核実験の被害調査や、国際的な支援基金の検討が始まっています。禁止条約が国際法として機能しつつあることは、「核兵器のない世界」をめざす人々を勇気づけています。
世界大会が8日採択した「長崎からのよびかけ」は、日本政府に禁止条約への参加とともに、「第2回締約国会議に少なくともオブザーバー参加して、開始された被害者支援への国際協力に加わる」ことを求めました。これを拒むなら唯一の戦争被爆国の姿勢が一層厳しく問われるでしょう。
核不拡散条約(NPT)再検討会議の準備委員会が11日まで、ニューヨークで開かれています。世界大会のヒロシマデー集会が6日採択した「すべての国の政府への手紙」は、核軍縮の交渉義務を定めたNPT第6条と、核兵器廃絶の「明確な約束」など、これまでの合意を実行する成果を上げるよう訴えました。
昨年の再検討会議は、ロシアの反対で文書採択ができませんでしたが、核軍縮の内容は、ほとんど合意されていました。ウクライナ侵略は絶対に許せません。しかし、核保有国がそれを口実に、条約の義務と合意に背を向けることも到底認められません。準備委員会で6条の義務に全く触れなかった日本政府は態度を改めるべきです。
戦争被爆国の政府として
日本共産党の志位和夫委員長は大会への連帯あいさつ(6日)で、日本政府に(1)「核抑止力」論の呪縛を断ち切る(2)禁止条約締約国会議に少なくともオブザーバーで参加し、被害者支援、環境修復などで貢献する(3)NPT第6条の義務履行を核保有国に迫る―の3点を要求したことを紹介しました。政府には速やかな実行が求められます。日本共産党は日本の政治を変え、「核兵器のない世界」をつくるために力を尽くします。








