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2023年8月8日(火)

きょうの潮流

 先月100回を迎えて終了した本紙文化面の連載「ねんてん先生の文学のある日々」。惜しむ声や感謝の言葉が寄せられる中、ねんてん先生こと俳人の坪内稔典さんは79歳にして新たに「窓の会」を結成しました▼「句会、歌会、詩の朗読会、読書会、フリートーク、何でもあり。俳句を核に現代的な問題に広く関わりたい」。従来の結社にありがちな上下関係や閉鎖性を廃し、会員の呼称も同人ではなく「常連」。一人ひとりの自由を尊重します▼会の主要な活動の一つが各地で開催する「ことばカフェ」です。2日、池袋で開かれた第1回「ことばカフェ東京」に参加しました▼北海道から福岡までの約60人が集い、まずはねんてん先生と俳人の池田澄子さんが対談。池田さんといえば〈じゃんけんで負けて蛍に生まれたの〉が有名ですが、一句でも覚えてもらえるのはすごいことだとねんてん先生。あの子規も数万詠んだ句のうち知られているのは〈柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺〉のみ、と笑いを誘いました▼続いて句会ライブです。全員の投句を読み一人2句ずつ選句。選んだ人の数が句の点数に。10点を得た第一席は〈遠花火先生の手に醤油(しょうゆ)さし〉いたまきし、8点の次席は〈おそろいの浴衣おそろいの腎臓〉牧野冴。喚起される情景を語り合い、作者の意図を聞くのも楽しい▼言葉が思考と感受性を耕し、人をつなぐことを実感したひとときでした。最後に、いつもお守りにしているねんてん先生の句を。〈がんばるわなんて言うなよ草の花〉


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